岡田尊司氏による教育本【なぜ日本の若者は自立できないのか】には参考となる視点がありますよ!
先日開催させて頂いたヘミシンク・セミナーにおいて、「教育」が話題となりました。
人員が減っている中、やらなくてはならないことが増え、過酷な状況に置かれていると、教職に就かれている方が口々に仰っています。
私自身、教育について頭の中を整理したいな、と思い、本屋、図書館を巡ってみると・・・
もしかしたら、教育関係の書籍の数、種類が、あらゆる分野の中で特に多いのでは?という位、多くの書籍があることが分かりました。
何から読んだらよいのだろう、と当初思いました。
こんな時は、これまでに私が読ませて頂いたことのある他ジャンルの著者、テレビ・本・ネットなどでお名前を存じ上げている方の本を読んでみると良いのかな、と思い、早速タイトルにある岡田尊司氏の書「なぜ日本の若者は自立できないのか」を手に取ってみました。
岡田氏は精神科医です。
数多くの参考となる本を書かれています。
今回読ませて頂いた本「なぜ日本の若者は自立できないのか」は、タイトルからはそのジャンルが想像しにくいかもしれませんが、まぎれもなく教育関係の本です。
本書の主張は明確です。
曰く、現在の日本の教育システムは画一的、知識暗記型であり、多様な子どもたちの特性や社会の状況に適応できていない、と言われています。
まあこれは、巷でよく言われていることですよね。
ここからが、岡田氏の精神科医の知見を活かした意見となります。
曰く、人の情報処理の仕方には、次の3つのタイプがあるそうです(もちろん、キッチリ分けられるのではなく、お互いが絡み合っています)。
それは。
1)視覚空間型
目で見て瞬間的に処理するのが得意なタイプです。感覚的で、実際に手を動かしながら自分でやってみたいタイプです。
反面、長時間じっくりと机上で考えることは苦手でマイペースを好みます。
2)聴覚言語型
聴いて理解するタイプで、人に教えてもらう(まさに現在の講義タイプの授業です)ことで理解するタイプです。
どちらかと言うと、抽象的概念より、具体的な内容に興味をそそられます。
3)視覚言語型
文字言語に強く、抽象概念、論理的文章に強いタイプです。記憶力がよく、ペーパー試験も得意です。
反面、コミュニケーションが苦手な傾向があります。
大きく分けて、この3タイプになるのですが、現在の画一的教育、ペーパー試験全盛の時代には、2)聴覚言語型、3)視覚言語型の子どもにとっては、ある程度やりやすい形式と言えそうです。
一方、1)視覚空間型の子どもには、じーっと座って知識を詰め込まれることが苦痛だったりします。
岡田氏は、特に1)タイプの子どもに合っていない「現在の画一的教育」について問題提起されています。
さらには。
現在の学校の問題点として、情報を組織化・系統化しアウトプットする力、すなわち統合力の訓練が不足していたリ、
コミュニケーション力はじめ、社会的スキルを磨く機会があまり無かったり、
競争が激しいがゆえなのか、他者との共感性を育むことも不足しがちなのです。
こちらについては、画一的教育の問題というより、全般的な教育内容についての問題提起です。
さて、
本書の後半では、そんな日本の教育の状況に対比させるが如く、海外=オランダ、フィンランド、ドイツ、イギリス、スイス、アメリカ、台湾、韓国などの教育の状況が紹介されています。
そこには、オランダなどのように、入試そのものが無かったり(当然、塾もありません)、
ヨーロッパ数か国のようにオルタナティブ教育(代替教育。シュタイナー、モンテッソーリ)が盛んだったり、
こちらもヨーロッパ数か国のように、早くから専門職業技術を実践的に学ぶ学校制度が確立されていたりします。
現在の日本における教育の型(画一的、詰込み記憶型)が当たり前ではないことに気づきますね。
日本でも最近は、試験の内容を変えたり、総合科目を取り入れたりしていますけど・・・
個人的に思ったのは、入試そのものを緩和するとか、何でも評価・序列化するのを止めるとか、専門職業教育を今以上に体系化・実践的にしていくことなど、根本的な見直しが必要なように思えました。
本書「なぜ日本の若者は自立できないのか」では、いろいろと考えさせて頂けました。
また、教育関係で興味を持った本をピックアップして読み、ご紹介させて頂こうと思います。