水野和夫教授が資本主義の危機について語る -資本主義の終焉と歴史の危機(読書備忘録)-

この本の帯には「28万部突破」と書いてありますね。

そしてアマゾンのレビューは170件もありますね。

 

今日は、水野和夫教授による資本主義の終焉と歴史の危機

という本の備忘録をアップさせて頂きます。

 

この本のメインテーマは、タイトル通り

「グローバル資本主義の限界が近付いているのではないか」

ということです。

 

このようなグローバル資本主義の問題を提起する本は、

中谷巌氏、佐伯啓志氏、内田樹氏など

複数人の大学教授(名誉教授含む)が書いていらっしゃいますね。

 

一つの有力な見解なのだろうと思います。

 

さて、本の内容について、もう少し詳しく書いてみましょう。

・資本主義とは「安く仕入れて高く売る。そして利潤(利益)を

 稼ぎ、再度投資することを繰り返す」というシステムです。

 

・その性格上、中央部=仕入れて作る、周辺部=売り先、

 という構成となります。が、グローバル化が進むことで

 周辺部が無くなりつつある状況です。

 

・周辺部(=物理的な空間)が無くなりつつあることを感じた

 先進諸国は、1970年代より電子・金融空間という仮想空間

 創り出しました。為替、株式、証券取引などの世界ですね。

 

・が、バブルがはじけたり、複雑怪奇な金融商品が開発されたり、

 超高速度な為替・株式売買システムでの取引が行われる、など

 こちらも限界(極限)に近づいてきています。

 

また、これと並行して、さらなる現代資本主義の分析を行われています。

これが本書の大きな特徴の一つなのだと思いますが、

・現代は「長い16世紀」と呼ばれた頃同様、

 低利子率(2.0%以下)が続く時代である。

・従って、それに続く17世紀に見られたような

 「大転換」が現代でも起きるかもしれない。

ということだそうです。

 

歴史の法則を踏まえながら現代を語る、ということなのでしょうが、

・400年前とは環境が違いすぎること、

・利子率2.0%という値を基準とする根拠がよくわからない、

・国債利子率と一般的な利潤がほぼ一致するという前提に疑問があること、

などから、個人的には少し違和感を感じます。

 

ただ、その他の電力消費量などを用いながらの現代分析は

十分に説得力がありますので、冒頭の「中央、周辺」という

考え方などと合わせて、興味深い内容だと思います。

 

さて水野氏は、このような危機に瀕する資本主義の今後について

どのように考えられているのでしょうか。

 

残念ながら明確には描けない、ということなのだそうですが。

キーワードとして「定常状態=ゼロ成長社会」という切り口

提示されています。

 

もちろん、ゼロ成長になる前に、1000兆円にのぼる国の借金や

高騰していく資源価格の問題など、深刻な問題の克服も必要です。

アイデア、方向性というレベルかも知れませんが、そのような方向性を

模索する必要がある、ということです。

 

今一度、

有限である地球で、無限に経済成長することが可能なのか、

ということを考えてみる必要があるかもしれませんね。

 

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