佐藤優氏も絶賛する「世界十五大哲学」:15哲人の哲学紹介に留まらず、用語解説が参考になります
今回は、哲学を全体的に俯瞰する本「世界十五大哲学」についてご紹介します。
本書のことは、佐藤優氏が著書で「説明が丁寧でわかりやすく、この本のおかげで哲学の入り口を間違えずに済んだ」と絶賛されていたことで知りました。
冒頭の「復刊によせて」の文章も佐藤氏が書かれています。こちらでも「人生の伴侶となっている本」と書かれており、ベタ褒めですね。
1962年初版で、しばらくの間、絶版となっており手に入りにくかったようですが、近年、復刊されました。
15人の哲学者たち
本書は、最初に簡単に哲学思想史にふれた後、15人の哲人の哲学が紹介されます。
では、こちらで取り上げられている15大哲学とは?
ソクラテス、プラトン、アリストテレス、トマス・アクィナス、デカルト、ロック、ディドロ、カント、ヘーゲル、キルケゴール、マルクスとエンゲルス、チェルヌィシェフスキー、中江兆民、デューイ、サルトルです。
パッと眺めてみて、ハイデガー、ニーチェが入らず、チェルヌィシェフスキー、中江兆民が入っているのは、不思議に思われるかもしれませんね。
恐らく、当時の時代背景(流行)、著者の思い入れなどにより、このような選択となったのだろうと思います。総じて客観的な記述となっていますが、近年発刊されている本と比較すれば、やや弁証法的唯物論への傾倒が見られる作りとなっているように思えます。
さて、15哲人の哲学紹介の章は、各々、哲人の生涯と著作の紹介、思想の特徴などから構成されています。上記哲人のうち、カント、ハイデガーなどは入門書・解説書を別記事でご紹介させて頂いていますが、あらためてこのコンパクトな記事を読んでみることで、認識を新たにできることもありました。また、キルケゴールなどはそれほど多くの入門・解説書が無いのですが、この本での紹介はなかなか参考になりました。
役に立つ「哲学用語解説」
それから、本書の最後にある「用語解説」も役立ちました。
哲学を学び始めた人たちから、言葉が分からなくて困る、という問い合わせを良く受ける、そして著者自身も初学者の頃それに苦しんだ(!)ということで、この章を設けられたそうです。
この章の中には、意識、演繹、帰納、観念、概念、悟性、認識、判断、観念論、唯物論、理性等々、哲学の中で頻出する、けれどもどのような意味で使われているかがいささか分かりにくい用語を平易に語られています。哲学の敷居の高さが少しでも和らいでくれるのではないかな、と感じます。
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