マクロ経済学って、エレガントですが、科学に寄り過ぎのような気がします。

 

藻谷浩介さんの本「金融緩和の罠で書かれているマクロ経済学についての話に大いに同意する点がありましたので、シェアさせて頂きます。

 

それは次の点です。

マクロ経済学は、現実には無数にある変数を思いっきり絞りこんでから、「この変数をこう動かせば、ほかのこの変数がこう動く蓋然性が高い」というセオリーを構築する、一種の思考実験です。

ですが実際の経済社会では、セオリーを構築する際に便宜上無視してしまったほかの変数も動いていて、結果に影響を与えます。

 

一般的に「科学」では、複雑な事象を単純化して因果関係などを表すために「モデル化」という手法を用います。

そして、経済学でも科学的なアプローチが導入されており、藻谷氏が書かれているように、関係性の高そうな変数を絞り込むわけです。

 

例えば、マクロ経済学で有名なIS-LM曲線では、利子率(貸出し金利)と国民所得の2変数に絞り込んでいます。もちろんこの式を導出する前に、消費、政府支出、輸出などの要素が入るわけですが、導出の過程を勉強する際に、「○○が増えると△△が減ると言われても・・」と、絞り込みの過程に疑問を感じることが幾度かありました。

一番基本のIS-LM曲線でこのような状況なのですから、国際経済学など応用分野に至ると、なぜそうなるのか頭をひねりまくる点が多々ありました。

他の要素も多々あるのに、何故その変数だけに注目するのか? むしろ他の変数の方が動くのではないか? とか、さらにはこの変数は逆に動くのではないか?とさえ思うこともありました。

このように、変数の動き方についてなかなか得心できないのは、自身の勉強不足が大きいのでしょうが、それ以外にも大きな要素があるように思います。

 

それは。

時代の状況に合っていない点があるということです。

さらには、資源の有限性を踏まえていないということです。

科学に寄り過ぎていて、数式の美しさ・エレガントさを追求しているのでは、とさえ思います。

辛口過ぎですね。。。

 

経済学とは「モノが不足していた時代に、如何にモノを平等に分配するか」を考察した学問だと聞いたことがあります。

※ちなみに経営学は「モノが溢れている現代、如何にモノを購入してもらうか」について研究する学問です。少々乱暴な言い方ですが。

 

確かにその通りで、現代には合わない点が幾らかあるように思います。

例えば、「金利が下がれば、人はお金を借りる」という点や「どんどんお金を供給すれば、どんどん使う」という点は現代に当てはまらないですね。

すなわち、モノが行き渡っている現代では必ずしもモノを購入する必要がありませんし、お金が増えたからといって必ず使うとは限らないのです。

資源(人、モノ、金、時間)は有限ですし、先行きが見えない時代には、人は資源を貯めこむからです。

買うモノがあまり無い、買ったからといって使う時間が無い、お金があっても将来に備えて貯める、など理論通りに行かないことが多々あります。

もちろん、現代に対応するために経済学の分野も日々進歩していると思いますが、それでも、現代の経済は古典経済学、ケインズ経済学が基本になっていることは確かです。

不勉強なので最新の経済学については把握し切れていません。

すでに新しい経済学理論が提唱されているのか、それとも、マクロ一辺倒に経済を考察すること自体が時代に合っていないのか、よく分かりません。

資源の有限性、(ここでは触れていませんが、)お金の持つ問題点などを踏まえた時代に適合した理論、実践が必要なのではないかと思いました。

 

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