よりよい人間関係を求める「気づき」の科学 -【交流分析】のご紹介-

今回は、自己発見と人間理解、よりよい人間関係を求める「気づき」の科学である【交流分析】についてご紹介します。

なお、まとめるにあたっては、杉田峰康氏交流分析のすすめ―人間関係に悩むあなたへを参考にさせて頂きました。

172ページほどで簡潔にわかりやすくまとめられた良い本ですよ。

さて、本ブログを読まれている方の中には、「エゴグラム」を受けてみた方もいらっしゃるかも知れません。

幾つかの質問に答えることによって、FCとかAとかCPなどの要素に分かれたグラフを作り、自身の心を分析するツールですね。

 

交流分析は、エゴグラムを用いる【構造分析】から始まります。

 

【構造分析】

 

交流分析はまず、「構造分析」と呼ぶ、エゴグラムを用いて
(心の偏りなど) 自身の発見をすることから始まります。

交流分析では、私たち人間はみな、自分の内部に「3つの私(ただし、後述するように、PとCはさらに2つに分かれるため、合計は5つとも言えます)」をもっていると言います。

1つ目はの自我状態で〔P〕、2つ目は大人の自我状態で〔A〕、3つ目は 子どもの自我状態で〔C〕と呼びます。

さらに〔P〕は、「批判・叱責・非難を行う〔CP〕」と「子供の成長を助ける、保護的な〔NP〕」に分かれ、

〔C〕は、「自由奔放な、もって生まれた自然な姿である〔FC〕」と「成長過程において、しつけなど親の影響を受けた部分である〔AC〕」に分かれます。

すなわち、CP、NP、A、FC、ACの5つに分かれます。

そして前述のとおり、幾つかの質問に答えることで、私たちの心が5つのうち、どの要素が強いのか、弱いのかが明らかになるわけです。

例えば、CPが低く、ACが高いN型(左からCP,NP,A,FC,ACの順で各々の得点を並べグラフ化します。それがNの形になるということです)の場合、その人の心は「ノーと言わず自己犠牲的に他人に尽くすタイプ。ただ、自分を喜ばすことをしないので、内心に葛藤が生じる」傾向があると分析されます。

こういったパターンが幾つかあり、自分の傾向を理解するのが第一ステップです。

 

【交流パターン分析】

 

そしてその次は、「交流パターン分析」を行います。

これは、相手との間でよく見られる、うまく行っていないような関係性をピックアップし、自身と相手の「どの自我状態が今の関係性を作っているのか」を分析します。

例えば、一方が「きみが不注意だからいけないんだ!」、もう一方が「あなたが見守るって言ったじゃない」などの有り勝ちな言い合いの場合は、お互いがP→Cに向かってしまう「ゆきちがいの交流」がなされていると分析できます。

 

【ゲーム分析】

 

さらにこの「交流パターン分析」とも関連し、私たちはある特定の人と、「ゲーム」と呼ぶ、「同じようなパターンの人間関係を繰り返している」ことが分析できたりします。

これを「ゲーム分析」と言います。

なぜか会うたびに同じようなやりとりになってしまい、結末は不快な気分となってしまうことってありませんか?

そういった心理ゲームを分析するのが、このゲーム分析です。

 

そして。

【脚本分析】

 

私たちはなぜ、何度も特定のゲームをしてしまうのか?

交流分析では、その原因は「脚本(人生ドラマの筋書き)」にあると言います。

私たちは、子ども時代から親を中心とする周囲の影響を受けながら育ってきました。

そんな人生経験によって強化され、固定された「基本的な構え」が、私たちの人生ドラマの筋書きとなっている・・・そんな脚本について分析して知り、書き変えていこう!とするのが「脚本分析」なのです。

 

以上4つが交流分析の大きな枠組みとなります。

 

【ストローク】

 

さらに交流分析で忘れてはならないのが「ストローク」という概念です。

(肯定的)ストロークとは、「スキンシップ」「ことばかけ」「まなざし・うなずき」など、「あなたがそこにいるのを気づいていますよ」と、相手の存在や価値を認める様々な刺激のことで、私たちはストロークを交換するためにコミュニケーションしたがっているとも言えるのです。

この、ストロークを適切に扱えるようになることが、交流分析の大きな目的の一つです。

交流分析とは、大まかに言うと、このような感じです。

 

具体例、対処例などに当たるには、上述の交流分析のすすめ―人間関係に悩むあなたへ をまず参考にされるのが良いかと思います。

 

最後に、交流分析に触れてみて、私が感じているのは。

分かりやすい流れで自分、および人間関係について気づくことのできる体系的な考え方だな、ということです。

また、脚本分析に見られる「子ども時代より周囲から受けてきた影響が自分の心を形づくっている」との視点は、認知行動療法の発展形であるスキーマ療法や、日本発の内観法など、多くの心理療法に共通のテーマだと感じます。

そしてストロークの概念は、ボウルビィの愛着理論や岡田尊司氏の安全基地などの考え方にも通じると思います。

私自身は、「ゲーム分析」により、人間関係での大きな気づきを得ることができましたので、その辺りについては、また別のブログで書きたいと思います。

以上、ご興味を覚えられた方は、ぜひ交流分析について勉強してみられるのはいかがでしょうか!

 

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