【認知行動療法実践ガイド】認知行動療法を学ぶ人/実践する人のスタンダード! -おすすめの心理療法本のご紹介-
500ページを超える分量に尻込みしそうになりました・・・
以前、大学の授業で認知行動療法を学び、興味を持った私は、さらなる理解のために探して、
手に取ったのが本書「認知行動療法実践ガイド:基礎から応用まで 第2版 -ジュディス・ベックの認知行動療法テキスト‐」です。
う~ん、確かにこの本、認知行動療法(以下、CBTと呼びます)の概説から始まって、治療の流れが事例とともに、フェーズごとに詳しく書いてあります。
特に臨床で実務に携わる人にとっては、手元に取っておきたい本ですね。
逆に言うと、入門者の場合、表現や内容は難しくないため、読み進めることは可能ですけど、情報量が多いため、サッと概要をつかむと言った目的には適していないかも知れません。
さて今回は、本書を大いに参考にしながら、CBTについてちょっとまとめてみます。
CBTは、1960年代初頭、アーロン・ベックによって体系化されたのが起源だと言われます。
※ちなみに、当時は「認知療法」と名付けられました。本書タイトルの「認知行動療法」とほぼ同義です。
その考え方は。まず。
偏った否定的認知(思考と信念)が抑うつの主要な特徴である、というものです。
基本的に、患者の抑うつ的な思考を現実的に検討していきます。
構造化された(=治療の仕組み・手続きが定められた)、短期の、現在志向的な心理療法と言えます。
基本原則は次のとおりです。
・治療者と患者とは、治療同盟という関係であることを重視する。つまり、協同的作業として患者にも積極的に関与することが原則ということです。
・問題に焦点を当て、目標志向的です。
・自身が自身の治療者になることを目指します。
・(上記の通り)治療セッションは、導入・中間・終わりといった形で構造化されている、
などの点があります。
そして、CBTで特によく出てくる用語というか、メインの視点、問題の対象とされるのが、「自動思考」です。
では、自動思考とは?
日常生活の中で偏った否定的認知、すなわち非機能的(正確ではない、有用でない)思考・信念のことです。
この自動思考に気づく方法が様々あるわけですが・・・
面接などの中で患者が困った問題を語ったり、ネガティブな気分にシフトしたとき、「今、頭にどんなことが浮かんだのか?」を問うことで、それを外在化していくことが基本(あくまで基本、いろいろと応用があります)となります。
そして本人にとって必要のない自動思考を検討し、その自動思考とは「距離を取って見ることが可能な状態」を目指して行くことが治療過程となります。
まあ本書では、自動思考の把握・検討・対応について、たっぷりとページを割いているわけで、とてもとても上記のような数行で書き切れるわけではありませんが・・・ご紹介ブログの都合上(?)、極めてシンプルに書いてみました。
正式には、本書などを読み、体験し、もっともっと概念を膨らませていく必要ありです。
さてさて、このCBTですが、
現在、第3世代と言われるマインドフルネスやACTなどが盛んになってきています。また、先日のブログで書かせて頂いたスキーマ療法など多様な展開をしています。
本書は主に、第2世代までの基本書なのでしょうね。そこまでは語られていません。
ひと言で語るのは難しいのですが、第2世代のCBTとは、自動思考の中の不適切な信念・考えに気づき、時に論理的に、そして主には感情的に得心(腑に落ちるといった感じかと思います)し、変容していくと言ったイメージを、私は抱いています。
第3世代CBTとは、第2世代までに対処し切れなかった症例などにも対応するため、それを超える視点を発展させていっているように思えます。
例えば、不安などを受容するアプローチ・考え方とか、自動思考そのものから離れるアプローチなどですね。
う~ん、認知行動療法ってとても多様な展開をしているため、今回のブログは十分に書き切れなかったなぁとの思いをしていますが・・・
それはともかく、本書「認知行動療法実践ガイド:基礎から応用まで 第2版 -ジュディス・ベックの認知行動療法テキスト‐」は、そんな多様なCBTの基本を学ぶことのできる標準書と言えるなぁと思います。