「意志力」を科学し、悪い習慣・先延ばしなどを克服するヒントを提供する! 【スタンフォード自分を変える教室】
興味深い本でした。
本書「スタンフォードの自分を変える教室」のイントロダクションの見出し(副題)に、「意志力を磨けば、人生が変わる」という文言があるため、一見すると精神論のみ語られている(精神論も大切です)かのように思われますけども・・
そうではなく、本書は「意志力の科学」すなわち「注意力、感情や欲望をコントロールする力」について書かれています。
心理学、経済学、神経科学、医学の知見を取り上げ、「どうしたら悪い習慣を捨てて健康的な習慣を身に付けられるか」とか「どうしたら物事をぐずぐずと先延ばししないようになれるか」とか「なぜ誘惑に負けてしまうのか、どうしたら打ち勝てるのか」など数々の〔ヒント〕が、本書では紹介されています。
メインタイトルにあるように本書は、スタンフォード大学の生涯教育プログラムの公開講座を元に創られたようです(最近は、大学名を冠した本が多く出版されていますね)。
また、本書で主に焦点が当てられているのは、「やるべきことは良く分かっているのに、なぜいつまでもやらないのか」という点です。
自分がなぜ、どのように自制心を失ってしまったことを知ることで、「自己コントロール」の限界を知りつつ、生活の中で試してみると良い様々な方法が幾つも紹介されています。
試してみて、自身に合った方法を見つけられれば良い、ということですね。
さて今日は、本書を拝読し、印象に残った点を2つピックアップしてみます。
1つ目は、「日常的な動作・思いにしっかりと注意を向けることが大切だ」という点です。
私たちは普段、半ば惰性的に、そして気を散らせて生活しています。
例えば、後者のように「気を散らせている」と、買い物の場面では余計なものとか、贅沢過ぎるモノを購入してしまうことがあるのです。
少なくとも「今自分がやろうとしていること」は、しっかりと認識していることが大切なのです。
そのための処方箋というか、ヒントがいろいろと書かれている中、良い方法だなぁと思ったのが、「意志力とは筋肉のごとく鍛えることができる」との考えのもと、「自制心を要する小さなことを継続して行う」ことです。
具体的には、「汚い言葉を使わない」とか「座っているとき足を組まない」とか「お金の出費の記録をつける」とか「捨てるものを1つ見つける」ことなどがあります。
小さなことですが、その都度、自分が何をしようとしているかに気づき、実行するのがた易いことより、困難な方を選択することで、日々気づく=自分のやっていることに注意を向ける力を養っていくということですね。
1つだけでも「気づく」習慣ができたらしめたものではないでしょうか。きっと日常生活の様々なことに波及していくと思います。
2つ目は、ガラリと変わって「恐怖管理理論」の話です。
テレビのニュース番組って、テロ、殺人などの恐ろしいニュースに溢れていますよね(まあ、それがニュース番組の使命の1つですけど)。
そしてそんな恐ろしいニュースの後、パッとCMに切り替わって、自動車、食品など様々なコマーシャルが流れたりします。
私たちは、このことにとまどいを覚えますけど、実はこれって「恐怖管理理論」で説明がつくのだそうです。
それは。。
恐ろしいニュースを見ることで、私たちは「自分の死」を意識します。たとえ無意識的にでも、です。
そして、死の恐怖感を感じたことで、私たちの中に不安だとか無力感を打ち消そうとして、やむにやまれぬ衝動が生まれるのです。それで私たちは、様々な安心感や安らぎを与えてくれるもの、自分が強くなったと感じられるものにすがりつくというのです!
では、自分を安心させてくれるものとは?
宗教もそうだろうし、前述の自動車などの(自分にパワーを与えてくれる気になる)贅沢品を購入したり、食べ物、嗜好品を購入したりします。
う~ん、なるほどなぁ、といった感じです。
私は、「死を思うこと」とは、「人生が有限であることを意識し、限られた時間を有効に、悔いなく生きるために活用できること」だと考えていて、実際にそれを応用して有効だなぁ、と思っています。
ということは、この「恐怖管理理論」って、あくまで「そのようなケースもある」という一例だと思いますが・・・
私自身の視点を広げてくれる見解でした。
本ブログでは、「スタンフォードの自分を変える教室」にあった印象的な点を2つ挙げさせて頂きました。
長くなったこともあり、実はもう1つ、次のブログで書かせて頂きます。