アスリートの人はもちろん、一般の人々にも大いに参考になる! 室伏広治氏の【ゾーンの入り方】

 

アスリートの人はもちろん、一般の人々にも大いに参考になる本ですね。

今回ご紹介する室伏広治さんの「ゾーンの入り方」のことです。

室伏さんと言えば、皆様もご存じのとおり、

2004年のアテネオリンピックでの金メダル、2012年のロンドン五輪での銅メダルはじめ、世界陸上を含めると14回も日本代表となり、5個のメダルを取られている、ハンマー投げの超一流のアスリートですね。

本書「ゾーンの入り方」を読んでいて驚いたのが・・・

サークル内で7.26キロもある鉄球を回転させている時、サークルを囲う防御ネットの間口(=開いた部分)は6メートルしかなく、

回転しながら防御ネットに当てずに投げるチャンスは、何と0.04秒しかない!という事実でした。

難しいだろうなぁ、とは思っていましたけど、0.04秒しかないとは!

100メートル短距離走のフライング判定機が0.10秒となっているらしいので、人間がスタート音を聞いてから反応できる時間をはるかに超えた短い時間の中で、ハンマーを投げなくてはならないのです!

感覚的には、投てき方向に対して背中向きになっているところから投げ出そうとしても間に合わないそうですよ。

こんな凄まじい競技に臨むわけですから、集中力、しかもゾーン(=極度に集中している時、心技体が調和しほとんど無意識な状態なのに、最高のパフォーマンスが発揮できる状態)に入ることが一大テーマとなるのは当然でしょうね。

また、室伏さんの業績で、何と言っても特筆できるのは、2004年のアテネオリンピック(30歳)と、2012年のロンドンオリンピック(38歳)という離れた期間に競技記録的なピークがあったこと、すなわち極めて長い期間、超一流のアスリートであったことです(もちろん、その途中も輝かしい記録を打ち立てられています)。

集中力、ゾーンの入り方に加え、モチベーションの維持・持続力もすごいですね。

室伏さんの体格は、一般人と比べると大きいですけど、世界のハンマー投げのアスリートたちと比べるとかなり小さくパワーも劣っており、実際、競技を始めた頃はそれ程良い記録を出せなかったそうです。

が、まさに不断のトレーニングによって、上記のような輝かしい成績をおさめられたのです。

 

本書では、集中力、ゾーンや継続力をメインテーマに、室伏さんの考え方・トレーニング方法がしっかりと書かれており、アスリートの人はもちろん、一般人である私たちにも大いに参考になります。

そんな本書で私が特に印象に残ったのは、次の点です。

それは。

常に目的・目標を意識し、「何のための行なうのか」理由や根拠を理解したうえでトレーニングする。

その練習法は、改革の連続だったそうです。当たり前だと思われていたことにさえ、所与のものとはせず、創意工夫し改良していく。

その典型が、ハンマロビクス自然の中でのトレーニング法です。

詳しくは本書に譲りますが、アスリートが怪我をしてしまう要因の1つに、整備されたトラック・マシンなどの安定した状態で、同じ筋肉だけを使ってしまう、ということがあるそうです。

そうなると、不測の動きが要求された時に怪我をする可能性があるのです。

なので、1回1回のトレーニングが単純な反復運動ではなく、不規則、身体を慣れさせないように工夫されているのです。

まあ、一流アスリートの世界では、そんなことは当たり前なのかもしれませんが、これって案外できていない人もいるんじゃないでしょうか。

与えられたメニューを受け身でやってしまう。。。

もちろんアスリートだけでなく、一般の会社・社会などでも大いにあり得ます。

そして。

1つのことだけに集中して打ち込み過ぎるのではなく、他のことにも集中してみることが大切だということです。

室伏さんの場合、現役時代には、アスリート、大学講師、スポーツ科学の研究者という3つの側面を持っていらっしゃったそうです。また、ハンマー投げを休んで、水泳に集中していたこともあるそうです。

違ったことに触れ続けることで視点が変わり、ハンマー投げという競技を客観的に見ることができたり、ハンマー投げのヒントを得たりできた、ということです。

モチベーションの持続にも役立ったそうです。

これも一般社会で大切なことですよね。

私たちの日常でも、視野を広げる、視点を変えることが必要なことが多々あります。1つの世界だけに埋没し切らないことが大切なのでしょうね。

 

今回は、上記2点だけしか書かせて頂けませんでしたが、本書「ゾーンの入り方」には、他にも多くのヒントになる話が満載でした。

やはり、超一流のアスリートって、蓄積したものがすごいし、意識が高いな、と感じ入りました。

 

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