【唯識思想】-ユングの分析心理学と対比することで分かりやすくなる-
唯識思想は、よく、ユングの分析心理学に類似した部分がある、と言われます。
確かに、私自身もユングの分析心理学と対比することで唯識の理解の助けとしてきました。
ユングの分析心理学による「こころ」は、表面に(顕在)意識があり、その奥に個人的無意識・集合的無意識がある、という構造になっています。
個人的無意識は普段現れてこない個人的な無意識で、その中にはシャドー、コンプレックスなども含まれていると言います。
また、集合的無意識は人間が先天的に持っている民族・集団などに共通する無意識で、「元型」と呼ばれるものが存在しています。
さてさて。
ユングの「こころ」の構造と対比すると阿頼耶識とは、主に集合的無意識に近い機能を持ち、一部、個人的無意識の概念もあるように思えます。
加えて、ユングの言説ではありませんが、(阿頼耶識には、自己の生命を維持する機能も持つことから、)インドヨーガで言うプラーナ(生命エネルギー、気息)も合わせたような概念ではないかと思えます。
また、阿頼耶識含めた「識」全体でみると、それは、個人、民族などのあらゆる人々、および外界までも含めた、過去未来が畳み込まれた広大なフィールド(場)と言えるでしょうか。
まあ、「識」の概念の中に外界までも含まれるという点がなかなか理解しにくいですが・・・ユングで扱う世界を超えた概念だと思います。
外界について扱う際、外界そのものにも意識がある、と考えると、もう少しシンプルになるのかな、と思ったりしますが、もしかするとそのような点は指摘済みかも知れませんね。
最後に、唯識についての説明が良くわかる本についてご紹介します。
その本は「唯識思想入門 (レグルス文庫 66)」です。
難解な唯識の概念をシンプルに説明されてるのではないか、と思います。
シンプルにずばり書かれてあるので、スッと頭に入りますよ。