飲茶さんによる更なる哲学入門書 -史上最強の哲学入門(おすすめ本)-
昨日、飲茶(やむちゃ)さんによる哲学入門書を紹介させて頂きました。
本日は、そんな飲茶さんによる、更なる2冊の本を紹介させて頂きます。
1冊目は「史上最強の哲学入門」で、西洋哲学編です。
昨日の本「14歳からの哲学入門」との違いですが、この本は、哲学史的に書かれていません。
哲学テーマ(真理、国家、神、存在)ごとに区分けして書かれています。
真理、国家、神、存在という4カテゴリーでソクラテス、プラトン、カント、ヘーゲル、ニーチェ、ハイデガーなどの各時代の著名哲人の主張を小気味よく1文で述べた後、数ページ割いてより詳しい内容を記述するという形式で書かれています。
総人数30人くらいでしょうか。
もちろん、この本で取り上げられていない人はいますし、当然ながら、スペースが限られるため「全てを言い切れていない」ところもありますが、ある程度網羅的に、シンプルに語られていると思います。
さて、もう一冊は、「史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち」です。
こちらは、インド、中国、日本の哲学について語られています。
哲学とは言っていますが、宗教思想について語っていると言った方がいいかもしれませんね。
この本では次の思想が取り上げられています。
(1)インド哲学:ヴェーダ、釈迦、龍樹
(2)中国哲学:孔子、孟子、老子、荘子、墨子、荀子、韓非子(=諸子百家)
(3)日本哲学:(日本仏教の歴史を踏まえつつ、)親鸞、栄西、道元
全体的に、西洋哲学の香りがする解釈とでも言えるでしょうか。
また、キーワードは無分別智ですかね。
仏教、老荘思想、インド哲学などを、サルトルなども持ち出しつつ、親しみやすい例を挙げながら、核心部分とその共通性について言及されています。
印象的な点をピックアップしてみましょう。
・「私は○○ではない」というのが真理なのに、日常的には「私は○○である」と考えている。これが、この世のあらゆる不幸を生み出す原因である。
・荘子の言葉を引用して。
価値判断の是非を行うことが「道」が失われる原因である。
「道」には本来、境界などない、言葉で「道」を表そうとすると、そこに境界、秩序が生まれる。
・文章では書き切れませんが、般若心経にも言及されています。
有名な、最後の「羯諦羯諦」で始まる箇所のユニークな解釈など、印象的です。
また、
西洋哲学が「先代哲学の破壊」の歴史であるのに対し、東洋哲学は「真理を得た者がいて、それを後に続く人が様々に解釈する」のが特徴的、という解説も参考になりました。
確かに、東洋思想においては、釈迦という存在がいらっしゃり、後に続く大乗仏教などの流れを見ても頷けます。
哲学に造詣が深い方だけあって、通り一遍ではなく、テーマを絞った深い解説だと思います。
さて、これらの本に関して。
西洋哲学編の本では、アマゾンで60以上の書評がついていますので、かなり読まれています。確かに読みやすい本だと思います。
哲学に関してはシリーズ化しています。
よろしければご覧ください。
・最近、哲学ブームなのでしょうね。 -面白い西洋哲学入門書のご紹介-
・飲茶さんによる更なる哲学入門書 -史上最強の哲学入門-
・哲学史を学ぶ意味を知り、哲学史を概観する -貫成人教授の「哲学マップ」-
・「考えて、知ることが哲学である」 -池田晶子さんの「14歳からの哲学」-
・哲学の入門書であるとともに科学の限界についても言及 -哲学のすすめ-
・【はじめてのインド哲学】 -多種多様なインド哲学の流れを俯瞰する!-
・【はじめてのインド哲学】 -「ブラフマン」と「アートマン」の多様な表現-
・インド哲学史に大きな位置を占める【ヨーガ】の目的は「精神的至福」です。
・【ヨーガの哲学】ヨーガの歴史・考え方と優れた技法を俯瞰する(1)
・【ヨーガの哲学】ヨーガの歴史・考え方と優れた技法を俯瞰する(2)