瀬戸内海に「均衡や多様性」を取り戻す! -「里海資本論」 (おすすめ本) -
さて本日は「里海資本論」についてご紹介します。
この本の著者としてお名前を出されている井上恭介さんは、
「里山資本主義」も書いた方です。そのような井上さんが、
今度は「里海」取材班の4人のディレクター達と、この本を書かれました。
ちなみに藻谷さんも最後に少しだけ寄稿されています。
さてこの本は、タイトルとおり
「瀬戸内海」が舞台となっています。
内容を簡単に紹介させて頂くと。
私も記憶がありますが、瀬戸内海ではしばしば赤潮が発生していました。
また海水浴では水深1mでも見通せないくらい汚れきっていました。
当然ながら魚の収穫量も昔と比べて激減していました。
そのような状況下、漁師、NPO、大学教授たちがスクラムを組み、
「自然の中の一員としての人間という立場で、自然に積極的に働きかけ」
瀕死の瀬戸内海の再生に挑むのです。
まあ、その手法については表紙などにも書かれていないので・・・
ぼんやりと書きますが、
瀬戸内海でありふれている自然物を使うことで海を浄化していきます。
浄化していった結果、
以前は海の底で繁殖していた「海の森=アマモ」が復活し
やがて種々の魚たちも帰ってきた(育つようになった)のです。
ここで大きなポイントとなるのは「自然に対して人が行為することで、
自然に均衡や多様性をもたらそう」という取り組みです。
自然の摂理に逆らう、と見られ、当初ヨーロッパではなかなか受け入れられない
考え方であったようです。
また、生態系とは奥深いもので、現在、海は綺麗になったけれども、
ノリの養殖が難しくなった、など新たな問題もあるようです。
なかなか微妙なところだとは思いますが、
人為は、人間の文明により壊してしまったものが元に戻るまで行なうべきで、
例えば金儲けのために大漁を狙ってアマモを増やしすぎるなど、
バランスを欠くようなことをしてはいけないのだと思います。
ただ、このバランス感覚が難しいため、ある程度の試行錯誤的なアプローチも
必要だろうと思います。
この本では、上記の海の復活に関わるお話以外に
沿岸部・島嶼部などでの話、里山と里海がつながる話などもあり、
ワクワクと読むことができます。
最後に。
私は、広島市内の海については知らないのですが。
福山、尾道辺りの海は前述のとおり、昔かなり汚れていたと記憶しています。
今度、しまなみ海道辺りを巡った際、海の様子を注意深く観察してみようと思います。