語り下ろしで分かりやすく情報量が豊富な、半藤一利氏の「昭和史」です! (おすすめ本)
先日は田原総一朗氏の現代史の本について紹介させて頂きました。
本日は、半藤一利氏による「昭和史」という本を紹介させて頂きます。
こちらも2冊構成で「昭和史 1926-1945」「昭和史 戦後篇 1945-1989」があります。
今回も便宜的に、前者を前編、後者を後編と呼びます。
アマゾンでは前編に110を超える書評が付いているくらい著名な本です。
さてここで、著者の半藤一利氏について紹介させて頂きます。
半藤氏は1930年生まれなので、今年85歳になられます。
文藝春秋新社に入社され、文藝春秋の編集長などを歴任されています。
作家であり、随筆家でもありますね。
幕末史、昭和史の歴史本を多種執筆されています。
この本は語り下ろしという口語調の文体で読みやすく、
前後編合わせて1100ページにもなります。
冒頭で半藤氏は、全体を通して興味深いことをおっしゃっています。
すなわちそれは。
・1865年から近代日本を作り始め、40年目の1905年に完成した。
・明治後半の1905年から1945年にかけての40年で、この国を亡ぼしてしまう。
・再び1945年から40年かけて国を復興、経済大国となる。
・1980年代後半にバブルがはじけ、今の我々は「失われた20年」に
象徴される時期にいるのかもしれない。(2025年まで?)
ということですね。
40年周期で、作ることと壊すことを繰り返している、ということです。
そのような経緯もあるので、
この前編ではまず、最初の近代日本作りの段階で日本は何を得たのか、
という点を明確にしたうえで昭和史に入ります。
明治維新のことが少しと、日露戦争のことが、まず語られるわけですね。
前編は、終戦までが語り下ろされます。
この前編は、半藤さんが生まれる前後の出来事なので、史料などにあたって
語り下ろされているのだと思いますが、今までのご著書を眺めればわかるように
その情報量は半端なく凄いものです。
一つ一つをここで語ることは、到底できません。
後半は終戦直後から始まります。
が、タイトルにある1989年までの歴史というよりも
佐藤内閣の1972年までが丁寧に語られているといってもよいかと思います。
戦後の約10年、1945~1955年あたりまでに、
全「15章+まとめ章」の内、11章分を費やされています。
対して、その後の歴史は5章ほどにとどまっています。
その理由は、
1973年以降の「現代」は、まだきちんとした歴史になっていない。
史料的にも出切っていないため、まだまだ十分に語れないから、
だそうです。
先日の田原さんの歴史本は、
まさに現代の政治家とのやり取りを含むライブ感がメインなのに対して、
半藤さんの歴史本は、
戦中戦後の極めて詳しい情報、歴史の流れについて知ることができるのが
大きな特徴だと思います。
そういった意味で上記の2種類の本は、案外内容がダブらないともいえます。
今年は戦後70年ですが、そのような区切りということに限らず、
現代史をしっかりと知っておくことは大切だな、と思いました。