たけし(北野武)さんのことばが【心に刺さる】のは、根底に「死と向き合う」感覚があるからではないでしょうか。

 

最近、たけし(北野武)さんの「バカ論」という本が出版され、売れているみたいですね。

この本を読んだのがきっかけで、たけしさんの本「全思考」や「新しい道徳 「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜか」を紐解いてみました。

以前にもたけしさんの本を何冊か読んだことはありますが・・・改めてざっと見てみると、驚くほど多くたけしさんの本が出ていますね。中には、インタビューの書き起こしなどもありますけど。

タモリさんがご自身の半生記とか人生論的な本を出されないのに対し、たけしさんはその類の本を多く出されていますね。

 

さて、上記のたけしさんの本を読んでみて思ったのが・・・たけしさんの本・意見って、社会から少しだけ距離を置いて、全体を俯瞰し、鋭い視点から斬る!といった観があるなぁということです。

たけしさんのギャグもそんな感じですよね。

この鋭い視点ってどこから来ているのか? と思っていましたが、今回本を読み、改めて感じ入りました。

たけしさんの本、さらには人生観とか佇まいには、根底に「死と向き合う」「いつかは死ぬということを意識する」「それゆえ、今の生をしっかりと生きる」といった感覚が流れていると思います。

 

その背景の一つとして。たけしさんの本に。

それまでの俺(=大学時代まで)は、母親の道徳観の中で生きてきた。

大学を辞めることを決めたとき、俺はその母親の道徳観から飛び出したのだ。

(以前、)自殺するにも等しいと書いたけど、ほんとうにあのときは、それくらいの覚悟が必要だった。浅草でのたれ死にしてもいい、と本気で思っていた。

※カッコ内は、私が補足しました。

もちろん、たけしさんのお母さんは、良かれと思って子どもに道徳観を語り、たけしさんもその通りに人生を歩んでこられました。

が、そのような母親の価値観という枠組み・支配から決別していくことは、ある意味「それまでの自分の死」に匹敵するのだろうと思います。

本の中では「生きている快感がないまま、この世から消える(死ぬ)のが怖い」、それゆえ今までの生き方から決別したのだと書かれています。

たいへんに僭越ながら、このことは、私にもよく分かるつもりです。

私にとっては、会社員というレールから外れるときが、それにあたります。大袈裟ではなく。今後自分がどうなるのかが怖かったことをよ~く覚えていますし、一方で、このまま会社員を続けることへの疑問もありました。

 

そして、もう一つの背景として。

たけしさんがバイク事故により生死の境をさまよった体験があると思います。あの事故以来、「生きていることにあまり執着がなくなった」と言われています。

あまりもあっけなく死に直面したことが、改めて人生観に影響を与えたのかも知れませんね。

 

さて、ここでちょっと話は飛びますが、この辺りの文章を読んでいて私は、堀江貴文さんが本で書かれていた「死ぬのがどうしようもなく怖い。それを頭から締め出すために、自ら忙しくし働いているという側面がある」という一節を思い出しました。

堀江さんの場合は、死を徹頭徹尾避けていく方向なので、2人が向かっている方向性は違うかもしれませんが・・それでも、「死」を意識したうえでの行動だという点で、共通性があるとも言えると思います。

たけしさん、堀江さんとも、時に極論とも思えることはあれども、建前ではなく本音のことばを語っているという共通点があります。

「死」を意識し、それゆえ「生を、今を、しっかりと生き切ろう」という視点なのだろうと思います。

この辺りの覚悟こそが、2人のことばが影響力を持ち続ける所以なのではないでしょうか。

遠い未来ばかり見つめないで、今をしっかりと生きろよ!行動するのは今だよ! というメッセージが根底に流れているのではないでしょうか。

 

最後に、たけしさんの本の中にあることばを引用してみます。

人生の目的があるから、それを追求すればいい、だけどそれがないなら、無理をして人生の目的を探すことなんてない。中途半端な会社人間になるのがオチだ。

そんなことより、若いうちから自分が生涯打ち込める趣味を見つけておいた方がいい。自分が一生夢中になれるものを見つけるのだ。

それがあれば、歳をとってから、わけのわからない犯罪を犯す確率だってかなり減るんじゃないか。

言葉は激しめですけど、概ね共感します。

別に高尚な目的でなくていい。目の前のことに夢中になれることがあれば、それに没頭すればいい。

(たけしさんの意見とは少し違いますが、)進んで行くうちに新しく夢中になれるもの・目標などが次々と現れてくるのではないかと思います。

文中でご紹介した「たけしさんの本」はこちらです。

よろしければ手に取ってみられるのはいかがでしょうか?

 

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