プレカリアートに取り組む雨宮処凜さんをご存じでしょうか? -【生きさせろ!】という衝撃的な本-
プレカリアートと言う言葉をご存知でしょうか?
プレカリアートとは。
「不安定な」と「労働者階級」を組み合わせた言葉で、
不安定な雇用・労働状況にある人々のことを指す言葉です。
その、プレカリアートの諸問題について真正面からぶつかり、
行動されている作家、雨宮処凜(かりん)さんによる本の一冊が、
「生きさせろ!難民化する若者たち」です。
ここで、著者の雨宮処凛さんについてご紹介します。
雨宮さんは思春期に、いじめ、不登校、家出などの経験があり、
社会に出た後もフリーター経験などを経て、作家活動に入られました。
まあ、途中、もっともっとお辛い経験や特異な経験もされているのですが、
それは著作などを見られれば分かります。
そのような多様なご経験、しかも生きづらいご経験されてきた雨宮さんは、
やがてプレカリアートに出会い、関連した多くの本を上梓されています。
そのような中の一冊が、この本です。
この本の中では、プレカリアート=不安定な労働者、の実例として
非正規社員として働く方、フリーターの方の生々しい姿が赤裸々に語られます。
よく、そのような立場の人たちの生活に関し、
自己責任論=自分の責任でそうなったのだ、という論調があるわけですが、
それはあまりにも一面的な見方である、ということがわかります。
働きたくても場所がないという問題、
体調等を崩して休むとすぐ解雇されるという不安定さ、
わざと社会保障に入っていないという経営者側の問題、
生活保護などの社会保障を受けにくいという国家的な問題など、
複雑に絡み合った環境、しかしながら圧倒的に労働者側が不利な状況により
このような状況が生み出されていることが理解できます。
一方で、正社員の人々はどうかと言うと、
これもこの本に書かれているのですが、
人員削減により、長時間労働で酷使されているという状況があります。
このような状況がじわじわと広がっているのは何故なのでしょうか。
究極的には、既に世界的にモノが行き渡りつつある状況、限界のある資源など
資本主義自体が限界に近付きつつあり、限られたパイを奪い合うために、
今は社会的に弱い立場の人にしわ寄せが行っているように思えます。
今後もっともっとしわ寄せが広がっていくように思えてなりません。
ただ。
究極的な問題解決、根本的な問題解決をするまで、
今は指をくわえて見ている、ということはあり得ません。
雨宮さん、以前書かせて頂いた湯浅誠さんなど、
現在の諸問題の解決のため、本当に素晴らしいご活動をされています。
また、本の中でも、支援団体「自立生活サポートセンター・もやい」、
「反貧困ネットワーク」などの存在や、社会制度などの情報を知らないことが
困難につながった、という事例について紹介されています。
情報を知らない、ということも大きな問題だと思います。
私自身は、このように知ったことを、
しっかりと情報発信していきたい、と考えています。
【支援団体へのリンクです】