インド哲学・仏教の入門書にもなり得る!? エックハルト・トール氏の【さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる】
今回は、エックハルト・トールという方が書かれた「さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる」という本のご紹介をさせて頂きます。
氏は、29歳まで不安・あせりに苦しむ人生を送られていたそうです。
そんな氏ですが、29歳のある晩、その後の人生を全く変えてしまうような霊的体験をされました。
氏は、その時の体験を理解し、深め、知識として統合するための研究を行い、カウンセラーやスピリチュアルの指導者として活動されるようになったのです(本書執筆時の2002年頃のことです)。
そして研究の成果、活動において様々な人々とやり取りした内容、取り組んできた内容を踏まえて生まれたのが、本書「さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる」です。
そんな本書を読ませて頂いて感じたのが、「これはもう、東洋の英知じゃないか!」というものです。
もっと言うと、インド哲学(ヴェーダ、ウパニシャッド)、テーラワーダ仏教の英知に近いものを感じました。
繰り返しとはなりますが、
氏は、苦しみの限界に達していたその夜、永遠の存在である「ほんとうの自分」体験をしたと言います。
その後、体験について研究してみたところ、それが上記東洋の英知に驚くほど近かったということなのでしょうね。
そして、その後の取り組み(多くの人々とのやり取りなど)を通じて、より洗練され現代風の分かりやすい表現になったのではないかと思います。
監修者の飯田文彦氏が語られているように、本書は極力宗教色の薄い用語で、それらが語られているように思います。
本書で語られているのは、
1)自分の思考は「ほんとうの自分」ではないと気づくこと
2)思考は、あらゆるものにレッテル貼り、決めつけをしてしまう
3)時間は幻想。「いま、この瞬間」に意識を向ける
4)「ほんとうの自分」とは、唯一の不滅の生命であり、
「大いなる存在」のこと
5)ほんとうの自分となることで、心の平安を実感できること
と言った点です(すべてではありませんが・・)。
特に前半部分は、「これでもか」というほど「いまに在る=いま、この瞬間」の大切さについて、問い:答えという形式で、いろいろな表現で語られています。宗教色の薄い表現で、です。
そして、英知の生活をするための方法について、本書では語られているのですが、それはまあ、本書を読んでのお楽しみとしましょう。
本書の概略は以上のような感じですが・・本書を読んでみて思ったのが、
1つは、本書を読むことで、東洋の英知、特にインド哲学とテーラワーダ仏教の英知について、宗教色なく、問い:答えという分かりやすい形で示されていることから、こういった分野に興味を持つ人の入門書となり得るのではないか、ということです。
もう1つは、私が携わっているヘミシンクとの関係です。
ヘミシンクを聴く際も、大前提として、「私は肉体を超える存在です」と宣言します。肉体はもちろん存在しているけれど、それだけではない、もっともっと広い世界が広がっているということです。
現代科学では、こういった世界へのアプローチは、ややもすると「主観的・非科学的」と見なされることも多々ありますけれど・・・
東洋中心に連綿として受け継がれてきた英知を切り捨ててしまうのには、あまりに勿体無いことだと思いますし、
何よりも、目に見えないもの=観察できないものは科学の対象外という姿勢こそ、見直されなくてはならないなぁなどと思った次第です。