体と心の所有権を取り戻す! -身体はトラウマを記憶する-
具体的で興味深い本でした。
この本「身体はトラウマを記録する」は、メインタイトルよりむしろ、
サブタイトルの「脳・心・体のつながりと回復のための手法」という言葉の方が適切かつ良く内容を表しているように思います。
トラウマとは? 曰く、
・トラウマは自分で自分を取り仕切っているという感覚を人から奪う。
・「セルフ(自分そのもの)」によるリーダーシップを奪う。
要するに、不安、恐怖などの感情に圧倒されて、自分が失われるような状態になるということです。
では、そのような状態から回復するための課題は何か?
それは。
体と心の所有権を取り戻すこと
すなわち
①落ち着いて意識を集中した状態になる方法を見つける
②過去を思い出させる光景や思考、音、声、身体的感覚に
反応するときに、その落ち着きを保ち続けることを学ぶ
③今を思う存分生き、周囲の人々と十分にかかわる方法を見つける
ということなのです。
そのための具体的な手法として、
自由筆記法(自分に手紙を書くことなど)、EMDR、ヨーガ、内的家族システム療法から演劇まで、豊富な臨床例を提示しながら、その効果について語られています。
これらの取り組みの多くは、専門家の査読があり科学雑誌に研究結果を発表したものであるという点が、今後の普及性を考えると素晴らしいと思います。
そしてもう一点大切なこととして、
これら手法は、どれが当人に合うのかはやってみないと分からない面がある、これらを組み合わせることも必要だということです。
また、トラウマと一言で言ってもヴェトナム戦争の帰還兵のような想像を絶する大きなトラウマから、そこまでは重篤でないもの(=それでも本人にとって大変なことです)まで様々なレベルがあります。
トラウマのレベルによっては、これらすべてが有効でない場合も十分にあり得るようです。
これだけで万全だとは考えない=過度の期待感を抱きすぎないことも大切ではないでしょうか。
さらには。
本書でメインに焦点が当たっているのは、トラウマからの回復ですが、本書でも言及されている通り、ストレスを感じている人にも役立つのです。
確かに、日常レベルでの応用が効くと思います。
さて、今回は私自身の経験を書いてみます。
私の場合はトラウマではなく、ストレスレベルの話です。
普段生活をしていて新たなことにチャレンジするとき、しかもそのことの情報量が少なかったり、自分があまり得意なことでは無かったりすると、
そのことに臨む際、結構不安やストレスを感じます。また、思わぬアクシデント、出来事などにストレスを感じることがあります。
そんな時私は、恐怖心や不安に圧倒されないために、
身体のどこか(たいていは胃~下腹部辺りです)にある恐怖心や不安感を眺めて、「ああ、私のお腹辺りに不安感や恐怖心があるなぁ」と、しばし感じるようにしています。
ヴィパッサナー瞑想的なアプローチと言えるかもしれませんね。
まあ、ショック度、不安度が大きいと、すぐにそちらに引き戻されてしまうのですが・・・その場合は再度眺めてみます。
そして、それ以外にも。
ヘミシンクのリリース&リチャージをしたり、理性的に自分を納得させたり、過去チャレンジしてうまくいったことを思い起こす、楽しい面に焦点を当てる、何か他のことに没頭することでそれらについて考える暇を与えなかったり、勢いと気合でぶつかる、なるようにしかならないと開き直る、友人に話してみる、など様々な方法を駆使します。
時間が解決してくれることも多々ありますね。
その時に思い付いた手法を手当たり次第に行ってみる、というのが実態ですね。
私自身、トラウマレベルの大きなショックとかストレスを浴びると、うまく対処できるかどうか全く自信がありませんが、というより難しいなぁと思いますけど、
日常のレベルの不安などに対処することで自分を保ち続けるスキルを上げていきたいと思っています。
現在までに、ヘミシンク、瞑想、気功などを行ってきたことが役立っているのは間違いない、と感じていますので、これからもこれらを続けていこう、と改めて、この本を読ませて頂いて、感じ入りました。