運動の有効性を知り、運動をしなくては、と思わせてくれる! -脳を鍛えるには運動しかない-
何とも強い主張の本ですね。
序文を読んでみると。
わたしが願うのは、運動が脳のはたらきをどれほど向上させるのかを多くの人が知り、それをモチベーションとして積極的に運動を生活に取り入れるようになることだ。運動をしたいと心から思えるようになれば、そのとき、あなたは違う未来へと向かう道を歩み始めている。
とあります。
このような熱い思いのとおり、本文では、これでもか!と言わんばかりに、次のような様々なケースにおける運動の有効性が主張されています。それも、極めて科学的に、具体的に、です。
その内容は。
・学習や健康への大きな寄与・成果
・ストレスへの有効性
・不安(パニック)、うつ、注意欠陥障害、依存症、更年期障害への有効性
・加齢(老化)への有効性
などで、全10章に渡ってぎっしりと書かれています。
アマゾンのレビューでも、「運動しようと思った」とか「運動せずにはいられない」などの言葉が目立つように、確かにこの本を読めば運動をしなくっちゃ、という気にさせてくれるなぁと思います。
ここでちょっと、私自身を例に取ってみます。
私は毎日、気功を行ったり、できるだけ歩くようにする、など有酸素系の運動をすることを意識しています。
が、心拍数を上げることを意識して運動する、という視点はありませんでした。
また、筋肉を付けること(=筋トレ)が有効であることを知りつつも、過去何度かトライしながらも続かないということを繰り返してきました。
本書では、筋トレに関してはそれ程多く書かれてはいません。本書では、有酸素運動の幅広い有効性が、より多く主張されているのですが・・・
それでも、筋トレ系を中心とした、心拍数が上がるような運動を、無理のない時間・量で日々の生活リズムの中に組み込む、ということにしました。
具体的には、日々の運動にジャンプ・スクワット、レッグランジ、カーフレイズなどのややハードなエクササイズを取り入れてみることにしたのです。
以後、毎日ではありませんが、何とか続けている、といったところですね。続けてみて何となく、シャキッとした感覚がありますので。
まあ、このような感じで私の運動へのモチベーションを上げてくれたのは確かです。日々の負担にならない範囲で、いろいろとトライしていきたいと思います。
さて、次の話題です。
それは、著者のジョンJ・レイティ博士が臨床精神医学者であり開業医であることもあり、この本では脳神経科学に関する情報が豊富であるということです。
この本の一部の章では、グルタミン、セロトニン、GABAなどの神経伝達物質や、ニューロン、シナプスなどの脳神経系統の専門用語が出てきます。惜しむべくは、脳神経科学や認知心理学でおなじみのシナプスの図であるとか、(脳の部位と機能を示すための)脳の断面図などがあれば、より理解しやすかったのになぁ、とは思いますが、、、これらの分野を学んだことがある人には、良い復習になったりします。
また、この本では、多くの論文、しかもここ10年に発表された論文を多く引用されています。脳神経科学はここ10年で飛躍的な進歩があったようで、例えば筋肉同様に、ニューロンも新生するという驚くような説が紹介されています(2007年、コロンビア大学の論文だそうです)。
それまで、脳神経細胞は成人以後、ただ死んでいくばかりだというのが定説でしたが、ニューロンが新生するとは!
レイティ博士は、運動により、この、ニューロンの新生が促されることを主張されているのです。
このように多くの論文が引用されているのですが・・・
ここ10年の論文ということは、この説含め、反証があるもの、未だ定説とはなっていないものが存在し得るのだろうと思われます。
よって、全てをそのまま鵜呑みにするわけにはいかないのですが、それでもこれだけ多くの論文が引用されていること自体が、大きくはそのような方向に進んでいる、ということなのだろうと思います。
最後に、レイティ博士は、脳と運動に関して強く主張したかったため、このような強いタイトルの本となっています。
が、この本の中には、栄養面など、運動以外に大切なことも、少な目ですが書かれています。
加えて、この本では言及されていない睡眠、生活リズムを整えることなども、脳のためには大切なはずです。
そういった意味では、「脳に運動が有効なこと」をこの本で認識しつつも、上記の睡眠、食事、生活習慣などの要素も大切であることをしっかりと踏まえることも大切でしょうね。
何はともあれ・・
自身の経験からも、この本以外の多くの事例も含めて、運動が有効であることは明白なので、、、運動を続けていきたいなぁ、と思う今日この頃です。