実は社会起業の進め方の参考にもなります! -小暮直久さんの「20円で世界をつなぐ」仕事-

 

今回も、小暮直久さんのTable For Twoの本“想い”と“頭脳”で稼ぐ 社会起業・実戦ガイド 「20円」で世界をつなぐ仕事について書かせて頂きます。

 

 

この本の副題には「社会起業・実践ガイド」とあります。

また、この本は、ビジネス関係の書籍出版が多い日本能率協会マネジメントセンターから出版されています。そして何より、著者の小暮直久さんは、かの有名なコンサルタント会社マッキンゼーのご出身です。

 

そこで今回は、起業ガイドの側面から、このTable For Two(以下、TFTと略します)を見てみたいと思います。

このTFTの素晴らしいコンセプトは、2006年頃に生まれたようですが、当時、コンセプトに関わった人々はことごとく別に本業を持っていらっしゃいました。そのように関係の皆さんが忙しい中、この素晴らしいコンセプトを生かすべく、小暮さんが専業者として起業することになったのです。

やはり、コンサル会社出身ですね。MBAなどでも学ぶフレームワーク(ビジネスを検討するにあたって必要となる項目を網羅的に示した「枠組みや手法」)などを用いながら会社を立ち上げていかれます。全てを列記するのはどうかと思いますので、印象的な部分を幾つか取り上げてみます。

 

1.フレームワーク「5P」でビジネスの目的を明確化する

 

この「5P」は、マーケティングの4Pなどと比べ、それほど有名ではないように思います。が、なかなか有用ですね。小暮さんは起業にあたり、以下の項目を検討されていきます。ちなみにTFTに当てはめた例も本書内に掲載されていますが、そこは控えておきます。一般的な概略のみ記載させて頂きます。

 

・Purpose(目的・達成目標)

 使命はなにか。

・Partnering(提携)

 どんな組織や団体と、どのような形態で連携するか。

・People(組織・人事)

 組織作りに必要なのはどのような人か。

・Promotion(宣伝・広報)

 使命や活動内容を、どんな媒体や手段でどのように伝えていくか。

・Profit(利益・成果)

 どうやって事業収益を上げて目的を達成するか。

 

2.同事業領域の他NPOの活動内容の調査

 

これは結構驚きました。

同事業領域にある他NPOの活動内容を調べたり、いろいろな方へのヒアリングをしています。いわゆる「ブルーオーシャン戦略」のようなもので、他団体とは違う領域を目指すために行います。先行団体と全く同じことをやっていてはノウハウ蓄積・知名度の点で勝てず、企業からの信頼や支援の点で劣るからです。また、他団体調査時に、ビジネスモデルを研究する上でも大いに参考になります。

いやはや、一般的な起業のノウハウそのものですね。

このような「理詰め」の戦略策定を行うことは、社会起業の大きな要素を占める「ワクワク感」や「社会的意義」をスポイルしてしなう面が無いとは言えません。適度なバランスが必要だと思います。もちろん、調査すること自体は意味があると思います。

これ以外にも、起業に必要な銀行口座開設、印鑑の登録、NPO法人の認証申請など、起業立ち上げに必要な準備が、小暮氏の起業ストーリーの中で時系列で書かれているので、(「NPO法人の立ち上げマニュアル」などの専門的な本が数多く出版されており、最終的にはこのような本が参考になりますが、)その必要性やタイミングなどがスーっと頭に入ってくるのではないでしょうか。

 

3.提携先などへの営業活動

 

NPO立ち上げ時の印象的な出来事として、提携先などへの営業活動についても書かれています。大企業にいらっしゃった小暮さんは、スタートアップ間もない無名の団体のことを説明し、信頼を得ることにも苦心されていますね。このことは多くのNPO団体で経験されることだと思いますし、いろいろと参考になります。「偏見を持たれる」「対等に扱ってもらえない」との文言が随所に出てきますので、かなり苦労されたことが伺えます。

 

長くなりましたので今回はここまでとし、次回、もう少し書かせて頂きます。

 

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