分かりやすい、 雨宮処凛さんの「14歳からわかる生活保護」の本
あなたやあなたの大切な人が、本当に困ったときのために、
”生きるノウハウ” を知っておいて下さい。
印象的な言葉が書かれた雨宮処凛さんの本「14歳からわかる生活保護」についてご紹介させて頂きます。
さて冒頭の「本当に困ったとき」とは?
・仕事がなくなって収入が途絶えたら。
・それによって家賃を払えなくなり住んでいる場所を追い出されそうになったら。
・病気や怪我で働けなくなったら。
・高齢になり、貯金も年金もなくて生活できなくなったら。
・頼れる人が一人もいなっかたら。
このように問われたとき、残念ながら、生活保護を受けるという手段が、なかなか人々の口を付いて出て来ないという現実があります。
生活保護は国の「最後のセーフティネット」であり、正しい情報を持ち、利用できるかどうかが、まさに生死を分かつ問題だというのに。
正確な情報が伝わっておらず、(最近はよくわかりませんが、多分)学校でも教わらない、そのような問題意識から生活保護について書かれたこの本は、「14歳からわかる」というタイトルですが、家庭内DV(ドメスティック・バイオレンス)の話などもあり、学生の方は勿論、大人の方が読んでも十分な内容かと思います。
この本は2012年10月、某芸能人親族の生活保護受給の話題(法的な問題は無かった様です)を受けて、世間で大きな話題となっている頃、多くの関連の本が出版された中の1冊です。
さすがに雨宮処凛さんが書かれているだけあり、臨場感、迫力があり、かつ分かりやすい本になっています(他の本や「もやい」のホームページなどで2013年以降の改正分を踏まえる必要はあります)。
さて、この本はまず、基礎的なデータの開示から始まります。
どの世帯の方が実際に利用されているか、ご存知でしょうか?
実は「65歳以上の高齢者世帯」が一番多く、42.9%を占めています。
次いで「疾病者、障害の方の世帯」が33.1%で、何とこの2種の世帯の方で76%=四分の三を占めているのです(2010年国立社会保障・人口問題研究所のデータ)。
また、時に世間で言われる「不正受給」の割合は1.8%です。雨宮さんが講演で不正受給率について参加の皆さんに聞いたとき、半分くらいかな、という声もあるくらいなので、実体と大きく乖離していますね。
そして、「捕捉率」と言う、生活保護を利用できる水準にあって実際に利用されている人は、20~30%と言われます。要するに、収入が水準以下で処分できる資産の無い方が「利用されていない」、ということです。
最後に、「利用率」と言う、全人口のうち利用されている方の割合は1.6%です。
制度自体の違いがあるとはいえ、捕捉率、利用率とも、諸外国と比べて著しく低い状況にあります。
なぜ、このように捕捉率などが低いのか?
生活保護の利用しづらさ、諸事情で本人が申請しない、行政側の予算・人員不足など多様な問題が絡み合っていると言えます。
さて、この本の本章では、生活保護が利用できなくて事件化した事例、生活保護を利用できて生活が救われた、という具体例と、「もやい」の稲葉氏や弁護士の方へのインタビューという、大きく分けて2つの内容が書かれています。
生活保護に関する具体的内容については別の記事で書かせて頂きますので、ここでは書きませんが、雨宮処凛さんの、この臨場感と迫力あふれる本は、生活保護の概要を知るための素晴らしい本です。
【ご参考となるホームページです】
【雨宮処凛さんの本に関する記事はこちらにもあります】
また、社会保障に関する記事はこちらです