【ヨーガの哲学】ヨーガの歴史・考え方と優れた技法を俯瞰する(1)
昨日、インド哲学に多大な影響を及ぼしたヨーガについて書かせて頂きました。
いや、インド哲学に、と書きましたが、仏教にも大きな影響を及ぼしていますね。
原始仏教(上座部仏教)の経典や解説書を読むと、
あの釈迦牟尼もヨーガの技法により悟りを開いたという記述さえ見受けられます。
そのようなヨーガについて、
本日は、立川武蔵氏の「ヨーガの哲学」等も参照しながら、
ヨーガの歴史・手法等について語らせて頂きたいと思います。
さて。
実は、ヨーガの起源はよく分かっていないようです。
が、紀元前2000年頃のインダス文明の遺跡などからも
ヨーガのポーズや瞑想する像が見つかっているようで、
その頃が起源ではないか、という説もあります。
何と、4000年前ですね。
その後、紀元前800年から500年頃でしょうか、
初期のウパニシャッドでヨーガという言葉が見られるようになり、
カタ・ウパニシャッドにはヨーガの説明が入ってくるようになります。
そして、紀元2世紀頃、
パタンジャリによるヨーガ根本経典「ヨーガ・スートラ」が
編纂されるに至って、ヨーガが体系づけられたと言えます。
なお、ヨーガ・スートラについては、
何人かの方が解説された本が手に入ります。
私も何冊か読んでいますので、機会を見て、またご紹介させて頂きます。
パタンジャリのヨーガ・スートラにおいて、八階梯のヨーガが制定されました。
これは、精神的至福に至るため、正しく瞑想を行うための準備の道、です。
補足も加え、頑張って書いてみたいと思います。
1.禁戒(道徳的準備)
社会的規範ですね。
不殺生、正直、不盗など「すべきではないこと」を定めたものです。
2.勧戒(ヨーガの精神、身体上の準備)
心身を清め、満足を知り、経典を読誦するなど「遵守すべきこと」です。
3.坐法(ヨーガ実践の準備としての坐法)
快適で安定感ある姿勢になるための「体位法」についてです。
4.調息(呼吸・気の調整)
呼吸により感情等の制御を行う方法についてです。
5.制感(対象よりの心の離脱)
感覚器官が対象に縛られることを止める方法(=制感)についてです。
6.凝念(特定の場における心の固定)
「集中」のことです。心を一つの場に縛りつけておくことです。
7.静慮(固定された心の進展)
想念がひとすじに伸びていく状態と言われます。
あっという間に時間がたっていたとき、瞑想はうまくいっています。
8.三昧(客体ばかりとなった心)
対象のすべてを自らの中に満たした結果、空になったかのような状態です。
こちらは言葉では表しにくい状態です。
最後の三昧の辺りは、なかなか書くのが難しいですが、
このように総合的、システマティックに
至福への道=瞑想への準備の道、が書かれていることがすごいですね。
さらに時代は進みます。
以降については、次回に書かせて頂きます。