イギリス式の【クオリティ・オブ・ライフ】-人生を楽しむこと、シンプルだけど豊かな暮らしの術がいっぱい! 「イギリス式月収20万円で愉しく暮らす」-
イギリス式の【クオリティ・オブ・ライフ=人生の質】- ライフスタイルと呼んでもいいと思います - に関する興味深い本、井形慶子氏による「イギリス式 月収20万円で愉しく暮らす」について紹介させて頂きます。
著者の井形慶子氏は、何と100回以上の渡英経験があるということで何度もイギリスに行き来する中で見つけたイギリス式の素敵な生活様式について、何冊も本を上梓されています。
その中の一冊であるこの本の中には、なるほど、と膝を打つ内容に溢れています。
幾つか、印象に残った内容を書かせて頂きましょう。
まずは、イギリス人の基本的な考え方について。
イギリスではさまざまな人と話をしていると、一貫して「quality of life」(クオリティ・オブ・ライフ=人生の質)という言葉が飛び出します。
父親が子育てをするためにパートタイム制で働くのも、DIYで屋根裏部屋を作るのも、すべては「fun」(楽しみ)で、それが上質の人生につながるというのです。
さらには、イギリス人は「人生の質」を優先し、ここまでします。
約八割の母親がワーキングマザーだと言われているイギリスでは、ほとんどの家庭がお金を払って何らかの家事を代行してもらっています。
二〇〇三年、ワーキングマザーの実態調査を見ると、彼女達の平均手取り月収864ポンド(172800円)のうち、家事代行業者への毎月の平均支払いが156ポンド(31200円)でした。
結構、驚きですよね。
このように外部の人を雇ってまでも、自身の人生を楽しもう、という姿勢は興味深いですね。
このライフスタイルは、副次的に、ワークシェアリング、人と人とのつながりが強まる、というような良い面もあるように思えます。
そして、彼らの生活は慎ましく、シンプルです。
物に溢れていない生活です。
いきなり細かな話となりますが、
・家具、食器、ジュエリーなどを代々受け継いでいく
・服やズボンなどの丈詰めやサイズ直しは自分でおこなう
・住まいの洗浄、除菌、消臭、除湿には、重曹を使う
(日本のように、用途別にいろいろな洗剤は使わない)
・からし湯、ラベンダー油などを使って健康管理を行う
などなど、自身の出来ることは自身で行う、自然素材のものを様々な場面に応用するという、まさに伝統的な知恵を生かしたライフスタイルを送られています。
この他にも、シンプルなお金の使い方、モノを増やさない工夫、など多くの知恵について書かれているのですが、これ以上は、ここでは書きません。
総じていうと、
人生の優先度付けをはっきりさせ人生を楽しむ、一方で、不要なものは抑える、シンプルに生きる、という素晴らしいライフスタイルだと思います。
ただ。
イギリスには「アフター・マーガレット・サッチャー」という言葉があるようでイギリスも「買って買って買い尽くせ」という消費文化に晒されてきていることも、また事実のようです。
若者を中心に、急速にライフスタイルが変わっていっているようです。
これは、日本についても同様ですし、以前ご紹介させて頂いたGNHの国ブータンなどでも同様のようです。
モノを購入・消費する、ということを頑なに拒むのではなく、便利な部分は取り入れれば良いとは思いますが、今一度、不要なものまで購入し消費する、という現代のライフスタイルについて見直すことが大切だな、と思わせてくれるような本でした。