知らないことを知り、知らないことを克服するということ -小室直樹氏の「憲法原論」- (おすすめ本)

 

昨日の記事で、以下のように書きました。

 

まず一つの専門分野で学問を修めること。次に、もう一つ別の専門分野

学問を修めること。次に、さらにもう一つ別の専門分野で学問を修める

こと。その過程で、自ずと総合力と統合力が備わる。

 

勉強すると「知らないことすら知らないこと」が「知らないこと」に転換される。

すると頭の中で「知っていること」の比率が低下するから、「勉強するほど

無知になる」という現象が起きる。

 

そのような、一つの専門分野を修めたことで、知らないことが明確になり、

さらに別の専門分野の学問を修める。

 

その典型とでも言うべき本

小室直樹氏の「日本人のための憲法原論

について紹介します。

 

まず、この本の著者である小室直樹氏について紹介します。 

 

小室氏は、何と大学で数学と政治学を、大学院で経済学、心理学、社会学

学ぶという異色の経歴をお持ちです。私には在野の研究者というイメージ

あり、一般向けに大量の本を出版されている、という印象です。

 

小室教授で有名なのは、何と言っても、まだまだそのような兆しが感じられ

なかった1980年に「ソビエト帝国の崩壊」という、当時のソビエトの崩壊を

予言した本を出版されたことです。

情報が隔絶され鉄のベールに包まれていたソビエトを、社会科学的に分析し

崩壊を予言したという衝撃的な内容で、小室氏はこの本により一気に有名

になりました。

 

さて、この本について。

 

タイトルが「憲法原論」なので、憲法のことに終始しているかと思えども

さにあらず。

 

この本はまず、中世のヨーロッパの歴史から始まります。

 

なぜ憲法学なのに中世の歴史から始まるか?というと、民主主義、

議会制、資本主義、そして憲法の発祥は、中世ヨーロッパの状況無しに

語りえないからです。

 

中盤までは、現在の体制が作られるまでの背景について書かれた後、

後半は、憲法と絡めながら、現代(といっても、1990年代までですが)

の政治、社会について縦横無尽に語られます。

 

まさに、憲法という一分野を修めるために、西洋史、政治、経済、

宗教(キリスト教)など多岐に渡る分野を修めてきたことを実感できる

本だと思います。

 

それゆえ、読みことで、憲法だけでなく、西洋史、政治学、経済学、

宗教(キリスト教)知識が付く、素晴らしい本だと思います。

 

同時に、一度読んだだけでは全てを理解することは困難なので

何度も読むべき本であり、抄録(抜き書き)すべき本ではないかな

とも思います。

 

この本の内容(概略)については、また明日述べてみようと思います。

 

 
 

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