テーマは「格差」 -トマ・ピケティ教授の21世紀の資本1-
遅ればせながら、
トマ・ピケティ教授の「21世紀の資本」を読んでみました。
5,500円(税抜き)という結構な値段だったので、なかなか購入に踏み切れ
なかったのですが、ようやく購入して読んでみました。
本屋へ行ってみればわかるように、近年、これほど解説本や特集記事が
出版された本も珍しいと思います。
それは、この本が、こんなにも分厚く難解だからでしょうか?
いえ、本文が600ページを超えていますが、経済書や経営書では上下2冊
組だったり、分厚いものがザラですので、これが原因ではないと思います。
これほどの解説本が出るのは、この本で扱うテーマが、今、日本でも頻繁
に語られる「格差」がテーマになっているからだと思います。 さらには、ア
メリカでベストセラーになったので、日本でも売れることを見込んでいたのだ
と思います。
そのような「21世紀の資本」の著者ピケティ教授ですが、フランス出身・在住
で、現在パリ経済大学の教授などを務めています。アメリカに渡った時もあっ
たようですが、肌に合わなかったのでしょうか、数年で帰国し、ほとんどフラン
スで暮らし続けられているようです。
さて、この本の中でピケティ教授は「所得の格差と分配に関するデータ」と
「富の分配と、富と所得の関係を扱うデータ」 を元に分析を行います。
18世紀からの300年間に渡るデータを含む、長期のデータを元にした分析
を行ったところにピケティ教授の独自性と凄さがあります。
さて、この大作の中で
ピケティ教授が言いたかったことは何なのか。
こんなことを書くと怒られるかもしれませんが、まず「はじめに」と「おわりに」
を読むと概要が理解できていいかもしれません。
特に、すでに週刊誌や新聞などの特集記事で、ピケティ教授の本に書いて
ある「r>g」という概念について何となく予備知識がある方は、「おわりに」
の601ページから読まれたらいいかもしれません。
そのページと、「はじめに」にある文章を補足しながら、この本で言いたいこと
を簡単にまとめると、「r>g」つまり「民間資本収益率=不動産、金融資産等
の資本が生み出す収益率」が常に「所得と産出の成長率=経済成長率
=所得や産出の伸び率」を大きく上回っていることが長期的な格差の拡大を
生み出している、ということです。
ぶっちゃけて言うと、「アパートや土地の賃貸料や利子などの不労所得の
方が、働いて得る収入よりもおいしい」ということです。
不労所得の伸び率の方が、労働所得の伸び率より高いということですから。
このような「資本収益率が、所得と産出の成長率より高い」ことは、アメリカ
などで典型的な「所得格差」よりも、長期的に大きな格差を生み出す、とも
言っています。
確かにピケティ氏の用意したデータでは、フローとしての所得格差より、
ストックとしての資本格差の方が大きくなっていますね。
直感的に考えれば「当たり前」のことを、詳細で広範なデータを用いて
問題提起できたことに、この本の存在意義があるのだろうと思います。
資産を持っている人というのは、一般的に「その絶対値が大きい」すなわち
「沢山所持している」。 それゆえ、資本収益のほとんどを再投資できるため、
複利的な原理でどんどんと富を蓄積できるということでしょうね。さらには、そ
のような人の所には人脈や情報が集まってくるため、お金儲け話も来るし、
場合によっては政治・経済面に影響を及ぼすことができるのかもしれません。
一方で、富をあまり持たず「ほとんど所得で暮らす人」は、資本収益率の恩恵
にあずかることが難しい、資本収益が幾らかあったとしても、生活費に充てる
などすることで再投資は難しい、このような状況の差により、格差は拡大する、
ということですね。
長くなりましたので、明日に続きます。
津蟹さんこんにちは
興味がひろく勉強熱心でいらっしゃる事に感嘆しています NHK教育テレビの白熱教室でトマ・ピケティ教授の講義を聴きました 新聞の書籍広告に解りやすい解説書800円也が載っていたので購入しようと切り取って持っていますが結局買っていません この白熱教室が面白いです 先週は超弦理論アインシュタインの夢最新物理の予言でした 一年位前に読んだ本に素粒子や陽子の光速の何倍もの速度の世界では
同じ物が同時に何か所にも存在するつまり我々の普通の時間では共時的に存在するという様な事がありました よく理解できてないし忘れているのでこれ以上説明できません 次回の白熱教室はこの超弦理論の
つずきです
心の未来的な内容かもしれません とても面白いです お勧めです 週末近くのpm11時からで
必ず毎週ではなかったと思いますがチェックしてみて下さい
以上感想とお知らせです また今後もセミナなどでよろしくおねがいします
コメントありがとうございます!
超弦理論、興味深いですね。番組を視てみます。関連する本についても読んでみて、ブログに書いてみたいです。
また、セミナー等でお会いできることを心より楽しみにしています!!