テーラワーダ仏教の「学び方」がよく分かります!【悟らなくたっていいじゃないか】

 

長年、タイでテーラワーダ仏教僧としてご活躍のプラユキ・ナラテボー氏と、主にミャンマーでテーラワーダ仏教の教理研究と実践をされている魚川祐司氏の対談を記録した「悟らなくたって、いいじゃないか 普通の人のための仏教・瞑想入門」という本があります。

本書はそのタイトルが示すように、一般の人々を対象とした、テーラワーダ仏教について語られた本です。

お二人が、タイ・ミャンマーというテーラワーダ仏教国に長らくいらっしゃることもあり、タイとミャンマーでのテーラワーダ仏教の捉え方というか、修行内容とか、あり方の違いについて語られていることが特に印象的でした。

具体的に言うと、

ミャンマーでは瞑想(心的実践)を重視し、1日に10~18時間も瞑想するのに対し、タイ(森林派)では瞑想は2~4時間で、それ以外の時間はコミュニティーの中での生活実践(作業的実践)に充てられているのだそうです。

実際、タイのスカトー寺にいらっしゃるプラユキ・ナラテボー氏は、相談に来られた人々に対しカウンセリング的な対応もされていらっしゃるようですし、開発僧といって、人々・社会の抱える様々な現実的問題に取り組む活動をする僧侶たちの1人でもあるのです。

仏教的に言うと、慈悲の実践ということになります。大乗仏教的な香りもしますし、社会活動的な印象です。

ただまあ、これは両氏がご存知の範囲での一般的傾向ということで、日本同様に、国内には様々な流派があるはずですが・・・

大まかに言うと、そんな傾向(心的実践/作業的実践の比重)があるらしいです。

 

さらに本書内では、現地の寺院やメディテーション・センターの日課なども詳しく語られており、やはり実際に現地にいる人によるお話は、臨場感があって興味深いですね。

タイにもミャンマーにも、英語はもちろん、中には日本語が通じる施設もあるらしいので、こういった行を行ってみたい方には、大いに参考になるだろうな、と思いました。

そしていきなり両国を訪れるのは、日程的にも費用的にも結構敷居が高いため・・・本書では丁寧にも、日本でテーラワーダ仏教を学べる施設であるとか、英語仏教的な話題について書かれたスクリプトの入手先だとかまでも書かれています。

なかなかこういった情報を書かれた本にはお目にかかることが無かったので、興味深かったですね。

もちろん本書では、こういった情報以外にも、両者の瞑想法の違いとか輪廻転生の解釈、慈悲瞑想についてなど、テーラワーダ仏教に根差した話題が多々盛り込まれていて、興味深かったです。

 

最後にまとめると。

本書「悟らなくたって、いいじゃないか 普通の人のための仏教・瞑想入門」は、タイトル通りのことも書かれているとは言え、現地テーラワーダ仏教の状況・違いだとか、日本でテーラワーダ仏教を学ぶための情報など、それ以外の内容も充実していて、面白く拝読させて頂いた次第です。

 

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