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「ハイデガー 存在神秘の哲学」(古東哲明氏):「在る」の現実を味わう -哲学者たちのおすすめ入門書- 

time 2016/05/14

 

貫成人氏の「ハイデガー」という分かりやすい入門書を拝読した後、私が読んだのは、古東哲明氏による「ハイデガー=存在神秘の哲学」でした。

 

この本はひと言でいって、ハイデガーの問いであった「存在」について、ハイデガー哲学を踏まえながら徹底的に考えていこうという内容です。

「在る」という現実を味わうことです。

存在が神秘の味(意味)をおびていることを確認すること。もっと言えば、存在は無根拠・無目的・無常という否定性を持つからこそ、充溢、輝き、祝祭性などの肯定性をもち得るということ。

「存在は虚無だからこそ神秘」ということです。

一見矛盾しているような表現ですが、そうではないことが、本書を読み進めることで明らかになっていきます。その経緯は読んでみてのお楽しみということで。。。

ここでは私が印象に残った点を書かせて頂きます。

存在は刹那(時間・場所はない)。在ると同時にない。

すなわち、存在とは刻一刻、無と化すという仕方でしか現れない刹那生起である。

それゆえ、ハイデガーのメッセージは「存在をしよう」

すなわち、「時を時として生きる姿勢をとりもどそう!」

ということです。

これはまるで仏教的世界観だと感じました。上座部仏教の瞑想法であるヴィパッサナー瞑想のような、一瞬一瞬を気づきながら生きるという姿勢だと感じました。

現代に生きる私たちは、計画・予定・期待などをして常に未来を見たり、反省・後悔などで常に過去を見ています。つまり、現在を生きていません。

また、現代のわれわれは、生や世界に究極原理が欠落したニヒリズムの世界を生きているとも言います。

ハイデガーは主に20世紀前半を駆け抜けた哲学者ですが、現代に当てはまるこのような状況をしっかりと見据える、その洞察力には驚嘆を覚えます。

ハイデガーの思想は、その後、哲学者に限らず神学、精神医学、美学、文学などの様々な分野に影響を及ぼしたと言われます。

現代の源流の一つとも言える考え方、価値観を提示したハイデガーの思想については、一度、触れてみる価値があるのではないでしょうか。

 

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