「ハイデガー 存在神秘の哲学」(古東哲明氏):「在る」の現実を味わう -哲学者たちのおすすめ入門書- 

 

貫成人氏の「ハイデガー」という分かりやすい入門書を拝読した後、私が読んだのは、古東哲明氏による「ハイデガー=存在神秘の哲学」でした。

 

この本はひと言でいって、ハイデガーの問いであった「存在」について、ハイデガー哲学を踏まえながら徹底的に考えていこうという内容です。

「在る」という現実を味わうことです。

存在が神秘の味(意味)をおびていることを確認すること。もっと言えば、存在は無根拠・無目的・無常という否定性を持つからこそ、充溢、輝き、祝祭性などの肯定性をもち得るということ。

「存在は虚無だからこそ神秘」ということです。

一見矛盾しているような表現ですが、そうではないことが、本書を読み進めることで明らかになっていきます。その経緯は読んでみてのお楽しみということで。。。

ここでは私が印象に残った点を書かせて頂きます。

存在は刹那(時間・場所はない)。在ると同時にない。

すなわち、存在とは刻一刻、無と化すという仕方でしか現れない刹那生起である。

それゆえ、ハイデガーのメッセージは「存在をしよう」

すなわち、「時を時として生きる姿勢をとりもどそう!」

ということです。

これはまるで仏教的世界観だと感じました。上座部仏教の瞑想法であるヴィパッサナー瞑想のような、一瞬一瞬を気づきながら生きるという姿勢だと感じました。

現代に生きる私たちは、計画・予定・期待などをして常に未来を見たり、反省・後悔などで常に過去を見ています。つまり、現在を生きていません。

また、現代のわれわれは、生や世界に究極原理が欠落したニヒリズムの世界を生きているとも言います。

ハイデガーは主に20世紀前半を駆け抜けた哲学者ですが、現代に当てはまるこのような状況をしっかりと見据える、その洞察力には驚嘆を覚えます。

ハイデガーの思想は、その後、哲学者に限らず神学、精神医学、美学、文学などの様々な分野に影響を及ぼしたと言われます。

現代の源流の一つとも言える考え方、価値観を提示したハイデガーの思想については、一度、触れてみる価値があるのではないでしょうか。

 

☆哲学に関する関連記事のご紹介です!

 

哲人たちの解説・入門書はこちらです。

カント(貫成人氏) :時代背景を踏まえた俯瞰的な語りが分かりやすい

カント入門(石川文康氏) :カント原書を読むための準備本・橋渡し本

新しいヘーゲル(長谷川宏氏) :網羅性、総体性等が魅力的なヘーゲル入門書

ハイデガー(貫成人氏) :存在の意味を追求したハイデガーの思想を俯瞰する

ハイデガー 存在神秘の哲学(古東哲明氏) :「在る」の現実を味わう

プラトンの哲学(藤沢令夫氏) :壮大な哲学を創り上げた西洋哲学の祖

デカルト入門(小林道夫氏) :「私は考える、ゆえに私はある」だけではない

ニーチェ(貫成人氏) :従来の西洋哲学をひっくり返す「反哲学」

はじめての構造主義(橋爪大三郎) :20世紀の代表的思想を分かりやすく語る

フーコー(貫成人氏) :当たり前をひっくり返し、常識に風穴を開ける

こちらは、全体へのリンクです。

【哲人たちのおすすめ解説・入門書はこちらです!

 

哲学入門書はこちらです。

西洋哲学ブームなのでしょうね -14歳からの哲学入門-

飲茶さんによる更なる哲学入門書 -史上最強の哲学入門-

哲学史を学ぶ意味を知り、哲学史を概観する -貫成人教授の「哲学マップ」-

「考えて、知ることが哲学である」 -池田晶子さんの「14歳からの哲学」-

哲学の入門書であるとともに科学の限界についても言及 -哲学のすすめ-

哲学紹介、用語解説が参考になる:佐藤優氏も絶賛する -世界十五大哲学-

4つのポスト状況を俯瞰的に分かりやすく語る -現代思想の教科書-

こちらは全体へのリンクです。

【哲学史、哲学一般についての記事はこちらです!

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA