従来のおカネとは違った「内面的な・社会的な価値」を軸として回る社会の到来を主張する【お金2.0】は興味深いですね!
「お金」とタイトルが付いていることから、お金儲け、資産つくりの本?と思ってみたり、「(バージョン)2.0」と付いているので、ビットコインやブロックチェーンについて書かれた本かな?と思ったりしますよね。
今回ご紹介する本「お金2.0」は、そのような本ではありません。(ブロックチェーンなどの概念は出てきますけど)
本書の主張は、むしろサブタイトルにあるような「新しい経済のルールと生き方」について考察された本です。
曰く、資本主義の欠点を補った考え方として、価値を軸として回る社会、すなわち「価値主義」の社会が到来しつつあるということを主張されているのです。
ここで。
資本主義の欠点として言及されているのは「お金をあまりに重視すぎること」、すなわち価値を仲介するツールに過ぎなかったお金が、価値から分離してひとり歩きを始めてしまった、そして「お金という手段」がそれ自体を増やすことが目的となってしまった(=手段の目的化)という、現在の状況を示しています。
さて一方で、来るべく価値主義の社会では?
「お金」は、価値を媒介する選択肢の一つに過ぎなくなります。
現在の経済社会で圧倒的な力を持つ「お金」が無くなるのではなく、お金と併存する形で、お金では表せない共感、信頼、好意など人々の内面的な価値や、いわゆるソーシャル・キャピタル(社会関係資本)などの社会的な価値のもつ力が大きくなってくるということなのです。
ただここで。
例えばこの中の「共感」について考えてみると。
Facebookのいいね!の数であったり、YouTubeの再生数などが共感の大きさを示すものとなり得るのかも知れませんが・・・
まだ今のところは、トリッキーなものや奇異なものへの注目とか関心の大きさが、いいね!や再生数に大きな影響を与えたりしています。
倫理的な面がおざなりになっているようなものが見受けられたり、SNS自体が承認欲求をみたす場、という側面が強くあるような気もします。
しかしながら。
やがてこれらも行き過ぎると修正されるのではないか、と著者は主張されていますね。
個人的には、「内面的な価値」といえるものと、単なる「注目・関心・承認欲求」のようなものが、両極端なものとして併存し続けていくような気がしますが・・・
お金の神話が今、崩れていっていることは実感します。
本書では、まず現在のお金や経済システムの正体について、脳神経科学や自然の摂理などを持ち出しながら、明らかにしていき、
お金2.0を支えるテクノロジーについての紹介が行われたうえで、
新しいシステムである価値主義、およびその中での人々のライフスタイルについて語られます。
若干、話が散逸気味な点はあるのですが・・・それでも現在の経済システムの正体に関する考察はじめ多様な見解については、大いに参考になりました。
「お金2.0 新しい経済のルールと生き方」、ぜひ、手に取ってみられるのはいかがでしょうか。