「東洋の瞑想」と「西洋の心理学」を統合する! アーノルド・ミンデルの【プロセス瞑想】
アーノルド・ミンデル氏のプロセス理論(瞑想)
レベルの高い統合的な理論だな、と思います。
その理論は、タイトルにも書かせて頂いているように、東洋の瞑想と西洋の心理学を統合した(=各々を含んで超える)考え方・理論です。
曰く、西洋の心理学とは、自分の外側に向かうことに主な視点が向いており、関係性を学ぶことに役立つものだと言います。
一方で、外に出たもの(=言葉)などを重視する傾向があるばかりに、内面的なもの(=沈黙、ノンバーバル・コミュニケーション)、自分の内面に向き合うことへの関心が弱めとも言えます。
また、様々な多様な学派があり、お互いの繋がりがほとんどないため、ややもすると一つの理論に固執し偏ってしまう可能性があるなどの特徴・問題点があります。
そして東洋の瞑想については、深く内面に入ることを重視します。
また、後ほど出てきますが、雑念を排除し心身を静めることを重視するといった特徴・問題点があります。
このような西洋の心理学と東洋の瞑想の特徴・問題点を踏まえ、統合的なアプローチを行なおうというのが、このプロセス理論であり、プロセスワークなのです。
そのような「プロセス瞑想」の大きな特徴は「気づきを重視する」ことです。
一見、ヴィパッサナー瞑想的ですが・・・プロセス瞑想においては、緊張感、対人関係で起こる様々な対立や感情、コミュニケーションの問題、雑念なども気づきの対象として、大切に扱うという点が異なります。
また、何に気づくのか?という時に活用される基本的なモデル・考え方として、「3つのパーソナリティ」「様々なチャネル」「エッジをとらえる」ことなどがあることも特徴的です。
とてもじゃないけど詳しくは書き切れないので、簡潔に書かせて頂くと。
まず、「3つのパーソナリティ」とは。
一次プロセスとして「普段、それが自分だと意識している自分」、
二次プロセスとして、しばしば無意識的な、自分でも気づいていない「何かを感じ、反応している部分」、
そして、一次プロセスと二次プロセスを「公平に観察する人」、
という3つのパーソナリティから、私たちは成り立っていると考えます。
次に、「様々なチャネル」とは。
身体感覚や内部感覚、視覚、聴覚、からだの動き、関係性、世界現象などです。
ヘミシンクにおいても、身体感覚、内部感覚、視覚、聴覚、それに加えて臭覚、触覚なども重視しますが、
プロセスワークにおいては、自身の感覚に加えて、他者や世界との関係性も、気づくためのメディア(媒介)として利用されるわけです。
さらに、「エッジ」とは。
ワークを進めるにあたって、自身がそれ以上プロセスを進めることができないような事柄、すなわち見るに耐えないもの、聴きたくないもの、注意を向けたくないもの、関わりたくない人間関係などのことです。
エッジを放置しておくと私たちは、人生で何度も同じような場面でストレスを抱え込むという点では、他の心理学的な用語で言うとスキーマ、信念、こだわり、仏教的には業といった言い方ができるかも知れませんね。
さて、これら3つの関係性について、極めて簡単にまとめると。
プロセス瞑想・ワークを通して、上記の様々なチャネルを用いて、自身のエッジ(二次プロセスだったりします)に気づくことで、エッジから離れ、より自在な自分へと変容していくことかな、と思います。
静的なものでは無く、変容し続けるという点がポイントです。
内に向かう東洋と、外へ向かう西洋を、統合的に捉えた理論であり、方法論であるプロセス理論は、興味深いアプローチですね。
アーノルド・ミンデル氏は、数多くの本を執筆し、日本語訳されたものも多々ありますが、瞑想という切り口で分かりやすく書かれた「自分さがしの瞑想―ひとりで始めるプロセスワーク」は大いに参考になりますので、一読されてみるのはいかがでしょうか。