「お金の心配・不安」を手放す(なくす)ために。 -【西原理恵子さん】の《この世でいちばん大事な「カネ」の話》には、インパクトを受けますね!-
先日、高須さんと西原さんのお話について書かせて頂きました。
今回は、西原理恵子さんがそれ以前に書かれていた本「この世でいちばん大事な「カネ」の話」についてご紹介します。
この本はかなり前に読んでいて、最近あらためて読み直してみたのですけど・・・前回のブログに書かせて頂いた通り、強烈な人生を送られていますね。西原さんって。
本のタイトルは「カネの話」となっていますけど、むしろこの本は、西原さんの半生記であり、カネというより「人が生きていくうえで大切なもの」が主題となっています。
西原さんにとっては【生まれた環境を乗り越えること】が人生の大きなテーマであり、その過程で【生きていくうえで大切なこと】に気付かれていったことこそが、この本の主題なのだと思います。
ここでちょっと西原さんの半生を振り返ってみると・・・
西原さんは高知の漁師町で生まれたそうです。出生の前にご両親が離婚されたので、母親の実家で生まれたのだそうです。
西原さんにとって漁師町での生活は幸せだったそうですが、やがて母親が再婚し、工業団地のある町に引っ越して行かれたのです。
ここから家庭環境は殺伐としたものになります。義理の父親は博打ばかり打ち、母親は怒ってばかりいるような家庭で、お金が乏しく喧嘩が絶えず、家の中に居づらい雰囲気だったそうなのです。町全体がそんな感じだったそうです。
それでも父の事業が成功し、一時裕福に見えたけれど、実はそれも他人への見栄の要素があったという状態で、実際は借金があったのです。
その後、西原さんは大学進学を目指して上京、漫画家の道に進み、夫のDV、離婚、復縁、事実婚、死別などを経て、現在に至られたのです。
こうして、出来事、経緯のみを書いてきましたが・・この本の肝は、その時の西原さんの心情にありますので、これだけでは到底、この本の要諦を語ったことにはなりません。
本当にいろいろと経験し感じられていますので、読む人によって目線は全然違うのではないかと思えます。
さて、ここでは私が抱いた感想を書かせて頂こうと思います。私の表現力不足により、全くもって語り切れないのがもどかしいのですが・・・書いてみます。
冒頭に書かせて頂いたように、そして本の冒頭にも書かれているように、西原さんにとっては「生まれた環境を乗り越えること」が大きなテーマとなっています。
西原さんのこれまでは、実の父親がアルコール依存症で暴力をふるう、育ての父親は博打にハマる、元夫もアルコール依存症(夫の父親もです)であるという状況で、家庭の平穏がほとんど無かった状況なのです。ご自身も多大な授業料を払った後、数年で復帰されていますけど、博打にハマった時期があったそうです。
また、西原さんが住んでいた工業団地の町でも、親と同じような世界に居続ける人生を歩むか、都会に出ていくかの二択を迫られる環境であったり、
さらには西原さんが漫画家となった後、アジアの貧困と言われる地域を旅されて、そこで生まれた人々が生まれた地域・環境から離れることのできない状況を知られたり・・・
そこには、お金が足りない、それゆえ家庭や地域が荒れる、希望を見失うなどの状況が世代を受け継いで繰り返されているようにも見えたりします。
しかしながら。。。
当事者として、その環境の中に埋没している時、それ以外のことって考えることは極めて難しくなってしまい思考のループに陥って、心ならずも同じことを繰り返してしまうのは、 ---まったく環境が違うとはいえ--- 会社員として会社の中にいたり、地域の中にどっぷりとつかることで、そのようになってしまうことを経験してきた私にも、 ---微々たるものかもしれませんが--- 少し分かるような気がします。
分かっているのに、何で同じことを繰り返すの! なんて言えるはずがない・・・
幼少期の心の柔らかい頃に、そのような家庭環境・地域の環境を体感して育ったら、それが自分の一部として、たとえ毛嫌いしていたとしても、どこかに固着してしまい、幼少期の環境に戻ることが、どこか自分で慣れた環境であり、そちらに吸い寄せられてしまうという面があるのかも知れません。
とは言え。
このような難しい状況の中、3点ほど考えてみたい点がありました。
1つ目は、一歩一歩足元を見つめて働くことの大切さです。
西原さんと縁のあった、子どもを育てながら働く女性は、現実を見据えながら日々を生きていらっしゃいます。まあ、配偶者が荒れているため、子どもを守る親とならざるを得なかったという点はありますが・・・それでも、日々、地に足を付けて生活をすることって大切だと思います。
人って希望を無くすと自暴自棄に陥る面があるため、希望を持ち続けるのも大切ですが、遠い希望に焦点を合わせすぎて絶望するのではなく、時に希望を現実的なものに修正しながら、希望と現実の両輪で生きることって大切だな、と思います。
2つ目は、視野を広げることの大切さです。
ご自身の生きてきた環境に苦しんでいた西原さんは、元夫と出会ったとき、夫が旅してきた世界、それもアジアの貧困な世界や戦争の話に接し、それまでの「刹那的な刺激や高揚感」を求める気持ちがすーっとひいたそうです。
その後、西原さんは実際にアジア各地などを旅するようになるのですけど、最初のきっかけは、元夫から聞いた世界の情報なのです。
一つの世界に染まるのではなく、絶えず外部に開かれていること=視野を広げる機会を持つことって大切だと、改めて感じました。
西原さんは、人から聞いて視野を広げられたのですが、もちろん現地を見ても良いし、本を読むのでも良いのではないでしょうか。
3つ目は、西原さんが一番最初に育った漁師町での状況です。
西原さんはこのように書かれています。
人って気候がよくて、食べる物に困らなければ、お金なんかそんなになくたってカリカリしないで暮らしていけるものなのよ。
(中略)町中みんなが貧乏だと、だあれも貧乏だってことに気がつかないのかもね。(中略)お金のことで心配したり、思い悩んだりしたことは、本当にただの一度もなかった。
加えて、家庭環境、地域環境が良かったということもあるでしょうね。
この本の冒頭で書かれており、その後は激動の人生となるため忘れられ勝ちですけど、「ある程度の食・住が確保され」「家庭、地域の環境が良い(人々のつながりもあったようです)」ならば、お金に頼り切らなくても生きていけるのかも知れません。
本書のテーマは、大きくて深く、根源的なものであって、今回書かせて頂いたことって、ごくごく一部のことに過ぎないです。
改めて読んでみて、いろいろと考えさせて頂きました。
皆様も読んでみられることで、いろいろな目線で考えさせて頂けるのではないかと思います。