湯浅誠さん、茂木健一郎さんの印象的な言葉1 -場づくりの大切さ- 「貧困についてとことん考えてみた」より
さて今回は、
湯浅誠さん、茂木健一郎さんによるパーソナルサポート現場訪問、対談の本
「貧困についてとことん考えてみた」から印象的な言葉をシェアさせて頂きます。
それは、湯浅さん茂木さんによる「場づくり」の大切さに関する言葉です。
これは、大阪で「仕事が続かない」と相談に来られたAさんの状況を
受けてのコメントです。
Aさんは、仕事が続かないのは自分の我慢が足りない、
自分が悪いと言っていましたよね。
私は「自分自身からの排除」という言い方をしてきたのですが、
なかなかうまくいかないことが続いて「これは自分が悪いんだ、
自分はダメな人間なんだ、自分は他の人と同じような生活をする
権利なんかないんだ」とどんどん後退していって、最終的に
「自分なんかどうなってもいいんだ」となってしまう人は多いんです。
それを解きほぐすには「あなたでいいんだ」ということをどこかで
実感として持ってもらうことが重要なんですね。(中略)
相談の場で言うだけでなく、そういった実感を持つことができるような
「場づくり」が重要なのです。今の世の中は、どちらかというと
「お前はだめなんだ」というメッセージを受け取る機会が多くなって
おり、「自分でいい」と思いにくくなっているサイクルがあります。
有名なマズローの欲求5段階説にある「社会的欲求/所属と愛の欲求」
「承認の欲求」にも示されていますが、普通の人間が社会で生きていく
ためには、安全な場に所属し、少しずつでも認められていくということが
大切なのではないか、と思います。
今までは、家族、企業、地域などがその役割の大きな部分を担って
いましたが、そこが崩れていっているのが背景にあるのだと思います。
もちろん、仕事が続かないことには、企業側の問題、仕事とのマッチングの
問題などもあるのだろうとは思いますが、すぐには結びつきそうにない
「つながりの場がある」ことが大切である、と改めて認識しました。
次のお話です。
経済学者の金子勝さんの著書も引き合いに出しながら、
セーフティネットがなければ綱渡りなんてできない、
安心感の無い社会だったら、個人は財産を貯めこもうと動くし、
企業も内部留保を高めて投資をしようとも思わない。
みんなが守りに入るから、イノベーションも起こらない。
このような社会のことを、湯浅さんは「溜めの無い社会」、
茂木さんは「安全基地の無い社会」と呼ばれます。
一方で。
そのような溜めを絶って起業されるような方がいらっしゃることも事実です。
皆様の中にも多くの書籍などで、超人的な力を発揮し成功された方の
お話を聞いたり、読まれた方がいらっしゃると思います。
そのような方々のメンタルは本当にすごいと思います。
けれども、それは多くの方にはできないことであり、
だからこそ書籍になったり映画化され話題になるような、
レアなケースなのだろうと思います。
現代の社会においては、多くの人が文化的な生活を行うための
最低限の生活が保障されることが必要なのではないでしょうか。