「教養ブーム」において考えたことです。-適度な教養、適度に本を読むということ-
以前、哲学ブームではないか、というお話をさせて頂きました。
さらには。
最近、哲学に加え、教養ブームでもあるのでしょうか。
本屋を歩いてみると、昔は渡部昇一氏、立花隆氏など、最近では池上彰氏、佐藤優氏、出口治明氏などの本が目立つように思います。皆さん、凄まじいペースで本を出版されていますね。
さてさて、それでは。
教養って一体何なんでしょう?
辞書的に調べてみます。辞書によってかなり表現が違いますね。
例えば岩波書店「広辞苑(第六版)」では
学問・芸術などにより人間性・知性を磨き高めること。その基礎となる文化的内容、知識、振る舞い方などは時代や民族の文化理念の変遷に応じて異なる。
また、小学館「大辞泉(第一版)」では
学問、幅広い知識、精神の修養などを通して得られる創造的活力や心の豊かさ、物事に対する理解力、また、その手段としての学問・芸術・宗教などの精神活動、社会生活を営む上で必要な文化に関する広い知識。
要するに、「学問や知識を身に付けること」および「心の豊かさ」「品位」ということでしょうか。
そうでしょうね。
これらは長年の学問や知識を身に付ける過程を通じて、身に付いていくものだと思います。そのうえで、私自身は「教養」についてどう考えるかというと。
教養を身に付けることで身に付くものは、次のものだと考えています。
・ベースとなる型を身に付ける
「守破離」という考え方に近いでしょうね。まずは基本の型を身に付けることで、その後、それを破り自在となっていくことが可能になるのだと思います。
・自分自身を相対化する
あらゆるものを咀嚼して受け止めることができる、距離を自在に取れる、視野が広がる、と言っていいのではないかと思います。
・本質を見極めるための基準を持てる
上記とも似ていますが、案外、世間的に権威を持っているもの、伝統あるものにも「本質をつかんでいない」と思われるものがあります。先人の本質追究の格闘の歴史を学ぶことで、真贋を見分ける目が養われていくのではないかと考えています(信じています?)。
また、極めて大切なこととして、本を買う、本を集める、本を読むこと自体が目的になってしまっては本末転倒だと思います。ここは、一番強調したいことですね。
社会生活を営むうえでは、適度に本を読み、教養を身に付けることは大切だと考えます。そのうえで、本を手放し、自分のあり方を実現していく、という様にありたいですね。