今さら、とは思いつつも、売れない芸人さんの世界を描く、又吉直樹さんの【火花】は印象的ですね!
先日のブログでご紹介した「芸人交換日記」を読んでいた時、「あ、そう言えば、興味深かったけど読んでいなかったなぁ」と、ある本のことを思い出し、
読んでみたのが・・・
又吉直樹さんの「火花」です。
今さら? といった感じですよね。
確かにそうなのですが、
大ブームになっているとき何となく読みそびれて今に至っていましたので、芸人さんのお話しつながりで、ようやく紐解いた次第です。
最近、芸人さんの直営業(事務所を通さないで仕事をすること)についての話題が大きくなっていますが・・・実はそのこととは関係なく、全くの偶然にこれら一連の本を読んだのです(オードリーの若林さんの本由来です)。
さて、
(ストーリーをご存知の方が多いかと思いますが・・・)本書は、売れていない若手芸人コンビの1人である「僕(徳永さん)」が、花火会場での仕事中に、先輩芸人コンビの1人である神谷さんに衝撃を受けた場面から始まります。
2人は意気投合というか、徳永さんの方が、破天荒な芸人の神谷さんを一方的にリスペクトし慕う、といった感じで、以後2人の間でのやり取り中心に話が展開していきます。
四六時中が芸人、つまり「どんなことも笑いの視点で考え、お客さんにさえ媚びず、生活さえも破綻寸前」といった神谷さんに対し、
主人公である後輩芸人の徳永さんは、憧れ、ちょっとした嫉妬、呆れなどが入り混じった複雑な感情を抱きつつ、それでも芸人として売れることを目標に、舞台に立ち続けます。
徳永さんの方は、破天荒さへの憧れというか、生粋の芸人(昔風の芸人?)への憧れを抱きつつも、ライブでのお客様のアンケートやネットでの反応を気にし、恐らく舞台でそれに迎合することもあったでしょうね、
「芸人としてありたい姿」と「食べていく収入が必要であること」との狭間で葛藤する姿を中心として、様々なエピソードが綴られています。
本書「火花」発刊当時、おそらく又吉さんはいろいろとインタビューで受けているでしょうから、その中で語られているかも知れませんが・・・
この、徳永さんの心情って、又吉さんの中にあった心情でしょうし、数々のエピソードも、実際に見聞した内容や体験した内容が多々あるのでしょうね。
オードリー若林さんが書いた売れない頃の話、芸人交換日記の世界、そして本書「火花」の話、どれも芸人の世界を赤裸々に語られています。
「芸人さんの世界って過酷な世界だなぁ」と単純化して語るのは違うような気がしますし、「若い時に夢を追ったことは素晴らしい」と手放しに賞賛するのもちょっと違うように思うし、「神谷さんのような破天荒な生活をすることで結局人生の安定を棒に振ったのではないか」などと受け止めるのもちょっと違う様に思うし・・・
まあ、一つの結論とか総括などを語ることは意味が無いのかな、と思います。
月並みですけど、いろいろな思いを抱けた、印象的な本でした。
本書「火花」、まだ読んでいない方は、「今さら」読んでみるのも良いですよ!