《よくわかる宗教社会学》では、宗教の社会的側面、社会との関係について考察する「宗教社会学」が俯瞰的に学べますよ。
少し前、「本当にわかる宗教学」なる本をご紹介させて頂きました。
今回は、
宗教の社会的側面、社会との関係などについて考察する学問である「宗教社会学」がよく分かる本(その名もずばりのタイトルですけど)「よくわかる宗教社会学」という書籍のご紹介をします。
もう少し詳しく。
宗教社会学とは?
ご説明します。
3つあります。
1つ目は、宗教集団の組織や人間関係について考察するといった面。
2つ目は、宗教と社会との関係を考察するといった面。例えば、カルト問題もテーマとなるのですが、それを考察することにより、ふだんは意識されていない社会の規範意識や秩序感が見えてきたりします。
3つ目は、宗教を社会学的に考察するといった面。家族、地域社会、教団、国という現実社会において、宗教の信仰や儀礼などの宗教的行為がどんな意味を持ち、どう機能しているか、といった点を研究することで、ふだんあまり宗教を意識しない日本でも、実は現実社会に多々影響を及ぼしていることを知ることができます。
「社会」と名付けられているように、人と人が関係する状況に主な焦点があたっていることが特徴ですが、
まあ、これは「宗教学」のなかの1つのジャンルといった考え方もできますし、上記2つ目などは、社会心理学、もしくは社会学的な色合いもありますので、宗教社会学とは「学際的な領域」の学とも言えそうです。
さて、本書は、Ⅰ章が「理論、学説」ということで、宗教組織論、宗教運動論、宗教儀礼論、宗教意識論、宗教減少など、多岐にわたる理論がスッキリと述べられていますし、それらジャンルの参考となる書もしっかりと書かれているという、有り難い(?)構成となっています。
そしてⅡ章は、「宗教研究の方法」ということで、かなりアカデミックな、社会学的、民俗学的な参与観察、エスノメソドロジー、エスノグラフィーなど実地的な研究法中心に様々な技法が紹介されているのも、本書の特徴だと思います。
そしてⅢ章が、「事例研究と比較研究」です。こちらはたっぷり140ページにのぼる、本書内で最も多くのボリュームがさかれたメインの部分とも言えますね。
キリスト教、仏教など世界宗教の説明に加え、多岐にわたるトピックスが取り上げられており、かなり突っ込んだ具体的な名称とその概要が支援されており、こちらに興味を持つ方も多いと思います。
例えば、シャーマニズム、日米の新宗教、カルト教団、すぴこん、テレビ霊能者などの現代スピリチュアルなどが取り上げられイェイ琉花と思います。
いわゆる陰謀論のようなもの、宗教的ボランティアの話、現代のメディアやインターネットと宗教の関係、宗教法人の話、政教分離の話、経営・経済と宗教など、あらゆる分野が網羅されており読んでいて「あ~たしかにこういったジャンルも宗教と社会の事例だなぁ」と頷くことも多々ありました。
こういった入門的、俯瞰的な本をまず読むことで、一般的な基本となる知識を補強したうえで、本書内で紹介されている中から、ご自身が興味を持ったジャンルに深くあたってみる、といった使い方をすれば良いと思います。
最後に。
こういった本を読んでつくづく思うのは、「現代社会って、ありとあらゆるジャンルで人々が思索していて、それらをしっかり解説してくれる書籍も多々出版されていて、何と恵まれた時代なのだろう」ということです。
この恵まれた時代環境を活かし、興味あることを可能な限り深めてみたいな、と思う今日この頃です。
以上、「よくわかる宗教社会学」のご紹介でした。