幸福のための「土台」に関する考え方が興味深い! 橘玲氏の【幸福の資本論】

 

興味深く、また参考になる考え方だと思いました。

橘玲氏の幸福の資本論において提案されている「幸福に生きるための土台(インフラストラクチャー)」について、です。

では、その「幸福に生きるための土台」とは何なのか?

それは。

「金融資産」「人的資本」「社会資本」3つです。

 

さて。

金融資産とは、その名のとおり、「お金、財産」です。

フローとしての収入と、ストックとしての金融資産のことです。

経済的独立を実現することで、金銭的な不安から解放されることが目標となります。

本書内では、一般的研究結果として、「収入800万円、資産1億円を超えると幸福度は変わらない」とありますが、住むところ、年齢、個人差がありますので、こんなに多くなくても十分に幸福の土台は築けると思います。

そして。

人的資本とは、「その人が富を生み出すための力」、すなわち「給料や報酬を得るための労働力、仕事力、スキル、働き方」などのことです。

好きなことに自己投資することで、自分だけのニッチを築いたり、フリーエージェント的な生き方をすることが目標の1つとなります。自己実現の内容は、人それぞれです。

さらには。

社会資本とは、一般的には社会的なインフラなども含みますが、ここでは個人に焦点をあて、「人間関係、つながり、共同体での絆」などのことを指しています。

こちらは賛否両論あるかも知れません。気になる方は、本書を読まれると良いかと思います。

 

氏は、これら3つの資本のうち、2つが充実すれば、人生の安定度は増し、従って「幸福のための土台が整う」と言います。

また、1つしか資本を持っていない場合は、ちょっとしたきっかけで貧困、孤独など、「幸福の土台を崩しかねない状況に陥るリスクが高くなる」と言われます。

これは例えば、田舎から都会に新卒などで出てきた(まだ、金融資産や人的資本を持たない、そして社会資本を地元に捨ててきた)若者が、実はリスクに晒されていることを説明できたりします。

とは言え、1つどころか、3つのいずれも持たない状況で都会に出てきた若者は不安定な状況にあるにも関わらず、人的資本を磨きながら、金融資産や社会資本を築いていく時間が十分にありますので、幸福の土台を築いていける可能性は十分にあるのです。

 

本書内では、興味深いトピックスや研究結果を交えながら、これら3つの資本・資産について、各章に分け詳しく語られています。様々なトピックスが面白く、興味深いなあ、と感じました。

さて。

ここで、最も重要なことを語りたいと思います。

それは。

これら3資本・資産は、幸福の「土台」だということです。

これら3つのうち、2つ以上があることで、安定した幸福のための要件が揃いやすいのは確かですが・・・それらが揃っているから幸福だ、というわけではないのです。

幸福とは、「個人の内面の世界」のことです。

前述の、都会に出てきた若者のように、何もない状態であっても、日々を充実して過ごすことは十分に可能ですし、またその「目指す過程」自体が幸福であるとも言えます。これは氏も、エピローグで語られています。

もちろん、若者に限った話ではなく、みんなが、たとえ3つの資本・資産が少なくても幸福であることは可能です。

要するに、本書で語られている「3つの資本・資産」は、一般的社会の中で、いわゆる一般的な「不幸な状態でなく、生きていく」ために意識しておいた方がよいフレームワーク(枠組み)ではないかと思います。

 

本書にある3つの資本・資産を手に入れた「=幸福を獲得できた」ではなく、むしろ「これらを失うと、私たちの生活から幸福と感じられる状況が奪われかねない」指標のような形で参考にすると良いのではないかと思いました。

本書幸福の資本論は、興味深い考え方だと思います。

一読されてみるのはいかがでしょうか。

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