あの村西とおる氏の人生論・経営論であり、おカネ論です! 味わい深い【裸の資本論】
知る人ぞ知る、主に1980年代に、とある業界で名をはせた、村西とおる氏による「裸の資本論 借金返済50億円から学んだおカネの法則41」という本があります。
資本論というタイトルなので、おカネについて書いてあるのは確かなのですが、全体的に見るとこの本は、村西氏の人生論・経営論とも言えそうな本です。
この本には、アマゾンのホームページを見ていて、偶然に出会いました。
本書は、村西さんが携われて来られたジャンルとはちょっと違う趣きだったので、ちょっと内容説明を見てみると・・・そこにはビシバシと響くことばが書き綴られていました。
例えば、
十億円の豪邸、黄金のロールスロイス、三億円のピンクダイヤ、十八億円で買ったヘリポート付きの豪華クルーザー、数千万円のブランド時計と、成金趣味は一通り味 わってきた過去を持っておりますが、(中略)幾多の苦境をくぐり抜けて得たもの は、「心の安らぎはおカネでは買うことはできない」、という結論でした。
えっと思い、興味を持ちました。さらには、
収入にいつも不満を抱くのは、仕事は労働力の提供ととらえるだけで、経験の蓄積であると考えていないからです。
う~ん、その通りですね! さらに、
形ある物はすべて滅びます。「モノに固執する考え」とオサラバすれば、あなたさまは無駄ガネや死にガネと縁がなくなります。
仏教?と思いました。そして、
おカネに愛される人は、人間に愛される人です。
この人のためなら 役に立ちたい、と愛されている人間がお金持ちになるのです。
おカネではなく仕事を追いかけて、ひたすら仕事を愛すのです。最後の結果でしかな いおカネの順番を先に持ってこないことです。
経営哲学だな、と思いました。
こんな感じの内容説明を見て興味を持ち、本書を手にしてみると、そこには村西氏のアップダウンの激しい人生、私には知り得ない世界の話が綴られていました。
ほんまかいな? 話を盛ってない? とも思いました。
ご本人曰く、「ジェットコースターのよう」な人生。頷けます。
件の事業で莫大な富を築く前にも、百科事典セールスでトップになったり、英会話教室で富を築いたり、インベーダーゲームなどゲームリース業で財を成したりされています。
が、法的な話とか、移り変わりのあまりに早い業界であるため、また村西氏のドンブリ勘定の経営、おカネをすぐ人に貸したりする(※返ってこない)性格などから、その人生で破綻も多く経験されています。
4回も一文無しになったそうですよ。
次から次へと夢が広がり、夢に夢中になり、より強い刺激を求めて猪突猛進し続けた半生なのかな、と思いました。
そんな村西氏も、結婚され、子どもさんとの日々に安らぎを覚えたり、60歳を超えた頃、大きな病気をされて死線をさまよったりすることで、今のような人生哲学が生まれてきたのかな、とも思います。
本書の所々には、著名人のことばが挿まれているのですが、その中の一つ、ツルゲーネフの「人間には、不幸か貧乏か病気が必要だ、でなければ人間はすぐに思い上がる」ということばを、まさに地で行くといった感じですね。
ただ、本書内ではなく、村西氏へのインタビュー記事か他書だったかも知れませんが、「経験は人間を変えない。人間はやっぱり目的を持つこと、これに尽きる」というようなことも仰っていましたし、「おカネがあれば今でも人に貸すと思う」というようなことも仰っていましたので、またおカネを持たれるとどうなるかちょっと分からない気もしますけど・・・
何はともあれ、あまりも激しいアップダウンの人生のストーリーそのものも面白いし、遠回りしまくった上での人生観についても興味深いなぁ、と思いました。
こちらは本書の中にあったソクラテスのことば「金持ちがどんなにその富を自慢しているとしても、彼がその富をどんな風に使うかが判るまで、彼を誉めてはいけない」の如く、今後、村西さんがどのようにおカネを使っていかれるか、注目ですね。
最後に。村西さんといえば、件の業界で名をはせた方なので、本書にも下ネタ系の話はあります。その点、読む人を選ぶという側面はあります・・・
もう現代では体験することが難しいと言えそうな稀有な体験談と、数々の経営論(セールスマン時代などの話、有名経営者との出会いなども盛り込まれています)などもあり、興味深い内容の詰まった一冊だと思います。