ブッダがこの世界の起源を語る【アッガンニャ・スッタ(起源経)】は興味深いですね! 《原始仏教・原始仏典について》
ブッダがこの世界の起源を語るという、原始仏教(のうちの長部経典)では珍しい部類の経典。今回は、その名も「アッガンニャ・スッタ(起源経)」のご紹介をさせて頂きます。
なぜブッダは、世界の起源を語られたのか?
それは、インドの階級制度:王族・バラモン・庶民・隷民自体に上下・浄不浄の区別はないことを説明するためにです。
その内容は、かなり超常的です。
まずブッダは、世界が消滅したときから話を始めます。
※長い期間が経過した「未来」の話として語られています。でも、起源を語っているのだから「過去」の話であるべきですよね。。。多分、世界は消滅と生起を繰り返しているということが前提なのだと思います。
世界が消滅する時、大部分の生ける者たちは光音天(アーバッサラ神の世界)に転生するのだそうです。心からなる存在で、喜びを食べ物とし、みずから光を放つような存在だそうです。
そのような至福の世界が長~く続いた後、世界は再び生成します。
大部分の生ける者たちは転生し、その世界にやってきます。真っ暗な水の中に、浄福のうちに住み続けます。
またまた長~い時間を経た後、大地の精髄というものが出現します。
そして、一人の意地汚い(?)生ける者が、大地の精髄を舐めることで喜びを覚え、そこに欲望(渇愛)が生まれたのです。まるで、アダムとイブの話みたいですね。
やがて皆が大地の精髄を食べるようになります。さらに時が経ち、大地の精髄は消え去り、地衣類(バッパタカ)が出現し、それを食べるようになります。同様に、次は草類、稲へと切り替わっていくうちに、生ける者の身体は堅くなっていき、容姿の相違(=高慢な心の元)、男女の別、稲の貯蔵、土地の所有などが発生していくのです。
そのようなときに、人々を叱責したり、場合によっては追放したりする役割を担う人が選ばれ、それが王族の起源になるのです。以下、経緯は省略しますが、そのような盗みなどの悪いことが現れ堕落した世界で、ある役割・仕事が与えられ、それが王族・バラモン・庶民・隷民などの起源となったのです。
当然ながら、上述のとおり、そこに上下、浄不浄などはありません。
また、どの階級の人だろうと、為してきた行為に従って、それに応じた来世が訪れるのです。
それから、これは仏典ということで、同時期に修行者が出現したことにも触れられています。修行者として煩悩を滅ぼし尽して、正しい智慧によって解脱することが最上である、と結ばれています。
※厳密には、本経の一番最後に「梵天の詩」が数行あります。ここの意味はよく分かりません。一見それまでと矛盾したことが書かれているようですが、経の中で「悪く説かれたのではない」とわざわざ説明してあります。話がややこしくなるので、これ以上のご説明は省略します。
以上です。
世界の起源について、アダムとイブの物語にも通じる興味深いことが書かれていると思われませんか?
一読されてみるのはいかがでしょうか。
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