原始仏教の概要について、まとめていこうと思います。 《原始仏教・原始仏典について》
原始仏教の本(原始仏典)を読んできました。
読んだのは、パーリ語の原典ではなく、中村元氏監修の日本語版「原始仏典」です。
原始仏典は量が膨大なので、とても全部は読み切れていませんが・・・読んでみた中でそれなりに見えてきた部分もあったり、不明点、疑問点も出てきました。
今回より何度かに分けて、原始仏典を読んでみて現時点で思うこと、不明点等について覚え書き的にまとめてみます。
今回はまず、【原始仏教とは何か?】について仏典のご紹介を中心にまとめてみます。
原始仏教とは?初期の仏教のことです。当たり前ですね。
ブッダ(釈尊と書かせて頂くのが適切なように思いますが、ここでは、より多く使われている呼称「ブッダ」と書かせて頂きます)存命の時代からそれに続く弟子たちの時代、紀元前3世紀くらいまでの仏教のことを言います。まだ、仏教教団が上座部と大衆部(大乗)に別れる以前の仏教です。
経典としては、インドの言葉であるパーリ語版と、それに相当する漢訳のものが残っています。その内訳は次のとおりです。
パーリ語経典名 | 経典数(パーリ語版) | 漢訳経典名 | |
長部経典 | 34 | 長阿含 | |
中部経典 | 152 | 中阿含 | |
相応部経典 | 2872 | 雑阿含 | |
増支部経典 | 2198 | 増一阿含 | |
小部経典 | 15 | 該当なし |
比較的長い経典を集めたのが長部経典、中くらいの長さの経典を集めたのが中部経典、さらに短いのが相応部、増支部経典です。小部経典は、短いわけではなく特殊なものという位置付けですね。
中村元氏監修の原始仏典に関しては、長部、中部、相応部まで発刊済みで、増支部を刊行中です(中村氏没後ですけど)。まるで辞書のようなぶ厚い本ですよ。
ちなみに、日本で有名な原始仏典の本としては、中村元氏による「ブッダのことば―スッタニパータ」「ブッダの真理のことば・感興のことば」が挙げられます。ともに、上記原始仏典の中でも最初期の経典だと言われています。岩波書店から発刊されており、原始仏教の入り口としておすすめです。
それから、大切なことを一点挙げさせて頂きます。
それは。。。
ブッダご自身は、一切仏典を執筆していないという点です。
ブッダの存命中、ブッダの教えは口頭と実践で伝えられていました。上記仏典でさえ仏滅後、数百年経って書かれたと言われています。途中、結集が行われ、教えの統一が図られてきたとはいえ、ブッダの元々の教えとのズレが発生した可能性はあるでしょうね。この辺りは真相の確かめようがないと思います。
以上が、原始仏教に関する簡単なまとめです。
さて、原始仏教の教えについて、詳しくは次回以降のブログに書かせて頂くとしても、原始仏典を読んでみてつくづく感じるのは・・・日本に伝わっている大乗仏教とこんなにも違っているのか、という点です。
まあ、日本に伝わる仏教自体も、真言宗、天台宗、浄土宗、曹洞宗などなど各々がかなり異なった教義、様式を持っていますので、大乗仏教と原始仏教(ミャンマーのテーラワーダ仏教が、比較的こちらに近いと言われています)が異なるのも頷けますね。
その教えはかなり論理的で、かなりの部分が明確に書かれています。とは言え、膨大な量があるゆえ、内容に矛盾を感じる点や不明瞭な点もあるにはあるように感じます。まあ、それらはもう少しいろいろと学んでみることではっきりとしてくるのかなぁ、と思いながら、原始仏典にあたっている状況です。
最後に、本章で取り上げさせて頂いた書物についてご紹介します。原始仏典は多数あるため、一巻目だけです。画像などをクリックすると、書評なども読めます。
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