複雑で、経済成長を続ける国「中国」を池上彰氏が解説する!【そうだったのか!中国】
ご存じのとおり、現在経済発展の著しい中国、
台湾、香港、日本などお隣との様々な課題を今も抱える中国、
共産党一党による政治体制のもと、資本主義を取り入れるという不思議な構造(社会主義市場経済といいます)の中国、
毛沢東らによる大躍進政策や文化大革命によって停滞を余儀なくされた中国、
今も変わり続ける中国。
そんな中国の現代史:主に中華人民共和国成立後の歴史について、池上彰氏が解説してくださっている本が、今回ご紹介する「そうだったのか! 中国」です。
まあ、日本よりはるかに大きな国土、14億くらいの人口を抱える中国の全容が分かるなんて全く思ってはいませんが・・・
今まで、池上彰氏の本とか小室直樹氏、大前研一氏、副島隆彦氏などの中国に関する本を読んでみたし、
私自身、北京、上海、大連、ラサなどへ行ってみたことがありますし、
気功を実修することで中国伝統の文化というか道教の考え方に触れたこともありますが・・・
関心を持ち続けている割に、ほとんど何も分かっていないなぁ、というのが実感です。
さて、池上さんの「そうだったのか!」シリーズは、池上さんの著作としては比較的古い時期に刊行されており、この「そうだったのか! 中国」も2007年6月発刊です。10年ほど前の本ですね。
中国に関しては、よく法律も変わったり、経済情勢も変わるので、最新の情報に触れたり現地に行ってみたりすることも大切でしょうが・・・
本書は様々な矛盾を抱えながら経済成長を果たす「まで」の現代中国の状況がよくわかります。
個人的には特に、ベールに包まれていて実態がよく分からなかった大躍進政策、文化大革命の章などに、ショックを受けました。
後に胡耀邦の「実事求是キャンペーン」で言及された「真理の基準は社会的実践だけである。いかなる理論でも絶えず実践の検証を受ける」という言葉を嚙み締めざるを得ないような、
理想論、机上の理論のみで物事を動かそうとする危険性といったものを感じました。
まあ、キャンペーンの言葉は、前の時代の反動もあって極端すぎると思いますし、当時の実態として毛沢東の権力闘争の一環として行われた側面が大いにあります。
ただ、当初は理想社会を築こうとして始まった活動が、やがて闘争、腐敗、機能不全などに陥ってしまう様は・・・
果たして「理想論・机上の理論そのものを標榜することがまずい」のか、「理論を持つことは良いが、体制・実行方法がまずかった」のか、それとも「その他の要因があった」のか、私の中ではよく分かりませんが・・・ いろいろと思いを巡らせました。
中国に限らず、いや国家に限らず、様々なコミュニティ・集団が、ある意味同じような動向を辿ることには、何かの落とし穴・ポイントがあるのだろうな、と思います。
それが、構造上の問題か運用上の問題かは分かりません。それは1種類のものではなく、様々な要因があるのかも知れません。
そんな感じで、
池上彰氏による中国現代史の解説本「そうだったのか! 中国」を読ませて頂き、いろいろと大きなテーマが隠れているなぁ、と感じ入った次第です。