世間で当たり前とされている価値観を「当たり前」としないこと。 Phaさんの「持たない幸福論」

 

働きたくない、

家族を作らない、

お金に縛られない、

 

本の表紙には、このような言葉が書かれています。

 

この言葉を見て、「は~?何言ってるの?」という気持ちになる方もいらっしゃるかも知れません。

けれども。

それはちょっと勿体ないです。

Pha(ファ)さんによって書かれたこの「持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない」には、共感できる点、素晴らしい意見が多々あるのではないかと思います。

まずはここで、著者のPhaさんについてちょっとご紹介しましょう。

Phaさんは大学卒業後、いったんは就職されたようですが、4年後に退職。

以来、10年以上いわゆる定職を持たずに生きていらっしゃいます。

とは言え、関西出身のPhaさんは、退職後、東京へ出てきてギークハウス(IT好きな人が集うシェアハウス)などで生活をされているため、ある程度のお金は必要なので、本の執筆やら身近な手伝いによって、お金を稼がれているようです。いわゆる低収入ですが。。。

 

そんなPhaさんが生きるうえで大切にしているのは。

1.一人で孤立せずに、社会や他人との繋がりを持ち続けること。

2.自分が何を好きか、何をしているときに一番充実や幸せを感じられるか、を
 ちゃんと把握すること。

です。

家族を持たず定職を持たず収入が少ないPhaさんは、上述のシェアハウスに住みゆるやかに他の人とつながることで、ある程度のリスク管理お金に過度に頼らない生活を実現されているのです。

 

そんなPhaさんの主張の中で、私が最も共感できるのは、

世間で常識とされている(=前提とされている)価値観を【当たり前のものとしない】ということです。

 

例えば本書で書かれている、「大学を出て新卒で正社員で就職しないと一生苦労するぞ」とか「X歳までに結婚してX歳までに子どもを作らないと負け組」とか「人生が苦しいのは自己責任、まじめに頑張っていればそうはならないはず」というような、現代社会で前提とされてきた価値観自体が、社会状況の変化により現状と合わなくなって来ているのに、今だに大きなプレッシャーとしてのしかかってきます。

Phaさん自身も、そのような価値観、とくに「当たり前に正社員として働きなさい」という価値観・プレッシャーに苦しみ、違和感を覚え、いろいろと試行錯誤しながら現在の生活にたどり着かれたようです。

そのような試行錯誤の最中、もちろん様々な行動もされたようですが、同時にPhaさんに大きな影響を与えたこととして、「様々な本を読んだこと」を挙げられています。

Phaさんは言います。

知識は人を自由にする。

 

色々な本を読むことで、「今の世の中のメインになっている価値観は絶対的なものではなくて、それはここ何十年かで出てきた一時的なものに過ぎない」「世界にあるいろいろな価値観や生き方を知ることができる」と。

また、本というものは、「自分がぼんやりと気づきかけていることをはっきりと言葉にして教えてくれるものだ。頭の中が整理されたり、考え方の選択肢を増やすことができたり、自分の回りの世界で当たり前とされていることを相対化できる。」「本を読むことで僕は生きるのが楽になった」とも。

さらには、「本に書いてあるような知識は、現実の生活と切り離されたものではなくて、知識と現実はつながっていて、知識は人生を変えるし、社会を変える」とも。

 

手前味噌で恐縮ですが、私自身もブログでしばしば、のご紹介をさせて頂いています。

今まで読んだことが無かったジャンルを読むことで自身を相対化できたこともしばしばですし、いわゆる必要のない常識や信念からかなり自由になれたのは確かです。

当然ながら、様々な方々が言われているように、私も「行動する」「経験から学ぶこと」は大変に重要だと思いますし、実際に様々な行動をしてきました。

けれども。

自身の行動は、自身の趣向が優先され、ややもすると行動に偏りが出てしまうこともあります。

あるジャンルを深く学び体得することに行動が必要なことに全くもって異論はありませんが・・・

自身が到底体験できないような内容を知り、知見を広げるための手段の一つとして本を読むことは有用だと思います。(他には、人に会い、人の話を聴くことも有用ですね)

何だか熱く語ってしまいました。

 

Phaさんのこの生き方については、真似できない、とか、ちょっと違うかも、など様々な意見があるかも知れませんが、ライフスタイルをまねるというよりも、自分自身を相対化する(=当たり前とされる前提を、当たり前としない。本当にそうか考えてみる)ために、一読してみると良いと思います。

 

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