あの池上彰氏による、時事問題が充実していて平易なイスラム世界入門書です! -高校生からわかるイスラム世界-
先日私は、イスラム教の入門書として、中村広治郎氏の「イスラム教入門 (岩波新書)」という書籍をご紹介させて頂きました。
この本は、イスラム教学、宗教学的な視点で、中立かつ網羅的にイスラム教について知ることができる素晴らしい本だと思います。
そして今回は、テレビでもお馴染みのジャーナリスト:池上彰氏が執筆された「池上彰の講義の時間 高校生からわかるイスラム世界」をご紹介します。
この本の特徴は、
時事問題が充実しており、分かりやすい(平易)、という点です。
池上さんの真骨頂である「分かりやすさ」に加え、「ジャーナリスト」というご職業柄、時事問題に半分以上のスペースが取られていることが大きな特徴の本、と言えますね。
すなわち、本書の前半では、イスラム教の概要がさらりと語られ、後半では、中東問題(イスラエルと中東諸国)、湾岸戦争、9.11、イスラム金融などの時事問題について多くが語られています。
もう少し具体的に言うと、
前半のイスラム教の概要では、同じ一神教の宗教としてのユダヤ教、キリスト教との関係、コーラン・ハディーズの簡単な紹介、およびイスラムの人生観(今世、来世)、イスラム法のうちの守るべき五行など、かなり要点を絞って、基本中の基本となる事柄が語られています。
この内容に興味を持った方が、さらなる他の詳しい本に当たってみる、という活用方法が良いのではないでしょうか。
一方で、後半の時事問題については、やさしく、かつそれなりに詳しく書かれていますね。
中東問題、なかでも第二次世界大戦前後のイスラエル建国に至る経緯などについては、恥ずかしながら私もよく知りませんでしたので、かなり参考になりました。
この中東問題含め、湾岸戦争、9.11等に関しては、驚くほど多くの書籍が出版されていますので、こちらについても興味を持った方は、他の本を調べてみて読まれるのが良いのではないかと思います。
最後に。
この本のタイトルに「高校生からわかる」とあるように、確かにこの本は、それほど多くの予備知識を持っていない高校生をターゲットに書かれていると感じます。が、社会人になりたての人や、サラッとイスラム世界についておさらいしたい人にも良いのではないか、と思いました。