脳をフリーズさせないためには、本人が日常で意識してトレーニングすることが大切です! -築山節医師「フリーズする脳」-
人間の脳は、
正しく使えば何歳になっても、かなりの若々しさを保つことが可能である。
しかし。
脳は、仕事、家庭、学校などの環境によってつくられる部分が大きいにも関わらず、現代生活の中には脳をフリーズ(=機能低下のこと。「言葉に詰まる」など「不意に何かができない状態」になること)させるような要因に溢れている。
このため、本人が日常で意識してトレーニングする必要があるのだ。
と、脳神経外科医である築山節氏は「フリーズする脳―思考が止まる、言葉に詰まる」において主張します。
※本書では、器質的な問題がある場合ではなく、外部的には脳が正常な場合を中心にお話をされています。
それでは、脳をフリーズさせてしまう環境要因とは何か?
細分化が進み、あまりにも効率化を求めすぎる現代社会の状況や、パソコン・スマホに長時間向かうようなライフスタイルなどが、我々現代人を、偏った脳の使い方をさせる方向に進ませてしまうのです。
そのような生活を続けることで、反射的、パターン的な行動はできても、それ以外のこと -昔はできていたことを含みます- がスムーズにできなくなっていくのです。
では、どうすればよいのか?
こちらについては、次回の記事でご紹介する「脳が冴える15の習慣―記憶・集中・思考力を高める」にさらに詳しく具体的に書かれていますが、
本書においては、著者の元を訪れる患者さんのケースを元に、様々に考察されています。
細かくはご紹介しませんが、大切なこととして、脳を偏らせずに使うためにマルチな活動をする、社会との接点をしっかり持つ、適切な脳のトレーニング(新聞のコラムの書き写し、音読、思い出しなど、お金のかからない簡便なものです)を行う、などの内容が書かれています。
惰性に流されるのではなく、新しいことに意識的に取り組んだり、無理の無い範囲で脳に負荷をかけることの大切さ、重要さを語られているように思います。
さて、本書のアウトラインについては以上ですが、本書の中で特に印象に残った点について一点、書かせて頂きます。
それは、パソコン、スマホなどの利用に関する著者の見解です。
大いに同意できました。
私もしばしばあるのですが、パソコン、スマホをついつい惰性的に長時間使ってしまうことがあります。その割に、ほとんど内容が頭に残っていないような感覚や、頭がボーっとする感覚があったのです。
著者曰く、どうも私は、パソコン、スマホ自体に脳をカスタマイズされた状態だったようなのです。(パソコン、スマホに支配されているというか、依存させられているというか・・・ パソコンやスマホに流されているような状態を指しています)
様々な面白い情報に触れていくうちに、「感情的な快」が優位となり、次第に思考を使うことなく、ダラダラと画面を見続けてしまう、という循環に陥ってしまっているのです。
スマホ、パソコンの利用は、基本的に「快」の行動なので、無理に抑制し過ぎるのも返ってストレスになるようにも思えるので、今後も時々は使い続けて良いとは思っていますが、少し自制したいとも思っていたので・・・
あらかじめ自分が調べたいこと、見て回りたい情報を決めて、その時間が来たらパソコン、スマホから離れる、とか、「ながら」でスマホをしない、など工夫をして使用時間を控えめにしていきたいな、と思いました。
以上です。
豊富な臨床経験を踏まえた、脳神経科学からの視点の、興味深い本だと思います。