抑圧した感情や思考を【書くこと】で解放する手法が興味深い! -オープニングアップ-
今回は「オープニングアップ―秘密の告白と心身の健康」についてご紹介します。
さて、オープニングアップとは何なのか?
著者であるペネベーカー氏は言います。
思考や感情を積極的に抑え込む(=抑制する)ことは、潜在的に有害である。
心の奥底にある考えや感情に向き合うことは、
短期的な健康にも長期的な健康にも驚くべき恩恵をもたらすようである。
筆記するにせよ、話すにせよ、
抑制が生む問題の多くは告白することで緩和される。
タイトルにもあるように、この本では心にしまっている秘密を告白することが心身の健康につながる、ということを書かれています。
(補足:この本の中では話すことの効果についても言及されていますが、メインは「書くことの効果」です。)
さて、なぜそのような効果が出るのか?
よく、カウンセリング(=話すこと)における効果は、感情の解放やカタルシスにつながることにある、と言われます。
これに加えて、筆記したり話したりすることは、その出来事の理解と自己理解を深めることができる点で効果的だと言われます。
我々の日常をよーく観察すると、やること等が頭の中で整理されておらず、モヤーっとしていることが案外多くないでしょうか。悩み事についてもこれと同様に、頭の整理がついていないことが案外多いように思います。言語化されることで、その経験をより一層理解することができ、その出来事が完全に過去のものとして得心できるということでしょうね。
では、なぜ「書く」のか?
曰く、個人的な問題を打ち明け、他人に告白するにはプライドが許さない、そのような場合には、話すのではなく書くことが有効なのだと言われます。もちろん書いたものは誰に見せるのでもないので、廃棄する、もしくはしまっておけばよいのです。プライバシーを守りつつ、秘密の告白による感情の解放、頭の中の整理ができるという点が良いのではないでしょうか。
何を、いつ書けばよいのか?
自身のトラウマを必死に探したりする必要はなく、今抱えている問題に焦点を当てれば良いのです。
また、単なる経験の羅列でもなく感情の吐露でもなく、「客観的な経験」と「それについて感じたこと」の両方を探り、書くことが大切なのです。これは、頭を整理する、という観点からではないかと思います。
書くタイミングについては...書きたいときに書けばよいのです。この辺りも、カウンセリングなどと比較して気楽にできる点です。
なお、本書の最後に注意点が書いてあります。それは、ここで紹介された筆記は、療法というより、【健康管理、予防の一形式】として考える、ということです。過度の期待感、万能感を持ちすぎることなく、気軽に使ってみる、ということでしょうね。
本書の中では様々な研究成果が書かれており、また様々な研究成果が書かれた類書も出版されています。
振り返ってみれば、自分自身でも、頭の中がゴチャゴチャした際は、よくノートなどに書いて頭の中を整理していたように思います。その時の感情までは記述することはありませんでしたが。
個人的にも興味深い方式なので、こちらを参考にして、実験的に試してみたり、更なる本を研究してみたいと思います。
☆【心理学】関連(=全般)の記事も書かせて頂いています。
よろしければご覧ください!