意外にも「もういちど読む山川【倫理】と【哲学】」は、哲学を俯瞰するのに良い本です
今回は、 --意外や意外かもしれませんが-- 倫理・哲学をざっと俯瞰し、学ぶために有用な本をご紹介します。
それは、タイトルにありますが・・
山川出版社の、もういちど読む【山川倫理】と【山川哲学】です。
2冊は、各々性格が違いますので、別々に紹介します。
もういちど読む山川倫理
1冊目は、「もういちど読む山川倫理」です。
この本は、高校の教科書で使われている「現代の倫理」を社会人向けに改定した本です。
読んでみて、かなり広範な内容まで書かれていることに驚きました。
例えば、このブログでもご紹介させて頂いたことのあるミヒャエル・エンデの「モモ」が取上げられています。
「功利主義と幸福の追求」というテーマの中で掲載されていたのですが、学生時代に「モモ」に出会い、手に取ってみることができれば、かなり人生が豊かになるのではないでしょうかね。
これは一例ですが、このような調子で西洋哲学はもちろん、東洋哲学、特に日本思想や現代思想まで、思いのほか細かな部分までしっかりと書かれています。
教科書由来の本なので、やや淡々とした記述です。初めて哲学に触れるとき、というよりは、復習的に読むのが良いかもしれません。そこで見つけた面白そうな人・興味を覚えた人の思想をさらに深く読んでみるという使い方が良さそうですね。
もういちど読む山川哲学-ことばと用語
さて、2冊目は、「もういちど読む山川哲学―ことばと用語」です。
この本は高校の教科書由来の本では無いでしょうね。多分。
第一部に哲人たちの印象に残る言葉、第二部に重要用語説明という構成となっています。
第二部については、古代思想、西洋哲学、日本の哲学、現代思想が盛り込まれており、限られたスペースのなか、かなり詳細に書かれています。
こちらの本は、初めから順に読むよりは気になる箇所をピックアップしながら読む本だと思います。リファレンス的な使い方が良いでしょうね。
教科書的なオーソドックスな作りのため、今一つ頭に入ってきにくい、という方はいらっしゃるかも知れません。が、よく受験などで、「教科書の内容を完ぺきに覚えれば、多くの大学入試に対応できる」と言われるのも頷けるような詳しさに驚きました。
社会人にとって、もう一度、教科書的に網羅的に、倫理・哲学を俯瞰するのに良い本ではないかと思います。