【空き家の活用】を検討されている方に!「解決!空き家問題」という本には様々な事例が紹介されています
新聞、テレビなどのメディアでもよく話題となる「空き家問題」。
2014年時点では13.5%(7軒に1軒)は空き家であり(総務省発表)、
2033年には、何と30.2%(3軒に1軒)が空き家になると言われています(野村総合研究所発表)。
この数値については、調査方法などから疑義を呈する人もいらっしゃるようですが、それでも、私が住む地方、というより身近でも空き家を見かけることが多くなっているのは確かです。
また、将来的に現在の住居の面倒を見られず空き家になりそうな家屋が結構ありそうに思います。
さらには、数年前、中小企業診断士の業務で建設業の方とお話した際、人口減に伴う新築件数の減少と、空き家の増加に、相当な危機感を持たれていました。空き家に対するビジネスも検討し、実施し始めているという状況でした。
今回は、そのような空き家問題に関する「解決!空き家問題」をご紹介します。
この本のタイトルは「空き家問題の解決」となっていますが、その中身は、主に【空き家の活用方法】です。
空き家というと、誰も住まなくなった(親などの)家を、解体・処分するという選択肢を選び勝ちですが、この本ではそれ以外の方法である【空き家の活用】について多くの事例から述べられています。
さて、この本の内容ですが、本格的な主題(?)となる第2章では、「空き家の活用を阻む4つの障壁」として、立地、建物の適合性、所有者に関わる問題、問題解決のための相談先の少なさ、を挙げられています。
そして次章より、様々な障壁があるとは言え、そのうえで空き家を活用している事例を、目的別(収益を睨むのか、公共性を優先するのか、など)や、都市・地方・個人などに分けて数多く紹介されています。
目的別での活用事例を紹介します。収益性面では、シェアハウス、シェアオフィス、カフェ、ギャラリー、ゲストハウス、スポーツジムなどがあったり、公共性面では、デイサービス、地域の人が集まるサードプレイス作りなどの事例が紹介されています。そして、これに伴う各地のNPO活動、地方自治体の取り組み、助成金などについての情報も盛り込まれています。
また、地方都市での事例としては、中国地方の尾道市、雲南市などの地域おこし、街の活性化につながる事例もあり、私自身、身近なこともあり興味を持って読み進めました。
ちなみに、尾道市、雲南市は、両者とも中国やまなみ街道沿いの街ですね。
また、印象に残った活用法を2つだけご紹介します。
1つは、「借主負担DIY型」という、空き家を貸すための方法です。
空き家を持つ多くの方は、修繕などの諸々の作業が面倒で、空き家に対するアクションを起こさないことがあると思います。けれども、この方法だと借主が自己負担で修繕を行い、しかも原状回復しなくても良いということです(ただし、主要な構造部分は貸主がおこなう必要があります)。貸主側は自己負担が少なく手間をかけずに空き家を活用できる、借主側は好きなように模様替えできたり賃料が安い、というメリットがあります。
もう1つは、「リバースモゲージ」です。
家を担保に生活費を借り、その方が亡くなった際に、家を売却して返済するという仕組みです。社会福祉協議会、金融機関が実施されている様ですね。
家々によって様々な条件・制約などはあるでしょうが、検討の価値があると思いませんか?
この本を読んでみて、やはり、情報を知ることは大切だと思います。
ただ単に空き家を処分するのではなく、公共的な用途など、有効活用の可能性があることが分かります。この本をきっかけに興味を持った内容を詳しく調べてみれば良いと思います。
そして、空き家問題は、今の社会構造も絡む、複雑な問題であり、地域活性化、福祉などとも絡む重要なキーになりうることも実感できます。
空き家問題・活用にご関心のある方は手に取ってみられてはいかがでしょうか。