ふだん何気なく見ているテレビや新聞記事にも潜む【落とし穴】! ‐「社会調査」のウソ‐

世の中に蔓延している「社会調査」の過半数は、(著者曰く)ゴミである。始末の悪いことに、このゴミは参考にされたり引用されることで、新たなゴミを生み出している。

この本「「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ」は、著者自身も言われているとおり、過激な表現で始まります。

 

 

まあ、ゴミというのは言い過ぎで、「ずさんな、精度の低い調査」くらいで良いかと思いますが・・ そのような、駄目と言われる社会調査の内容について、実名で50以上の実例を挙げ、どこがどのように駄目なのか、どうすれば正しい調査となるのか、どうやって正しいものとそうでないものを見分けるのか(これがサブタイトルの、「リサーチ・リテラシー」です)、が述べられています。反論があれば受ける、とまで言われています。

さて、この本に掲載されている数多くの事例から、3つだけピックアップしてみます。

いささか古い例ですが。

1990年時点で存命の4名の、前・元大統領のうち、一番人気があるのはカーター氏。在職中に好人気を維持し続けたレーガン大統領は「並」に転落。カーター氏35%、レーガン氏22%、ニクソン氏20%、フォード氏10%。

という記事があります。

この記事のどこがおかしいのでしょうか?

答えは、「カーター氏のみが民主党で、残る3人は共和党だから、質問の時点でフェアではない」ということです。

仮に、40%が共和党、40%が民主党、20%が無党派だとすると、共和党支持者の意見は割れるが、民主党支持者にはカーター氏しか選択肢が無い、カーター氏がこの調査で1位になることは最初から明らかだ、ということなのです。このような調査を「強制的選択」といい、恣意的な点がある、と言います。

ここで取り上げた共和党、民主党の支持比率は実態と違うかもしれませんが、それでも、3倍も差があることは無いでしょうから、一理あるお話だと思います。

さらには、このような調査結果が更に引用されることによって、更なる悪影響を与える、とも言われています。

※ちなみに、この質問に、恣意的な意図があったかどうかは不明です。また、この記事を取り上げるにあたり、政治的意図は皆無です。念のため。

 

その他に、因果関係の取り違え、見せかけの相関などにも注意が必要です。

基本的に、科学においては、因果関係のあるパラメータ(変数)を明確にする、ということを行ないます。が、原因と結果が逆だったり、2変数は直接関係なくて取り上げた変数以外の第3の変数(=真の変数)があったり、単なる偶然だったりすることがよくあるのです。

この本の中で、私が結構驚いた事例を紹介させて頂きます。

それは。

ダイエット食品を食べる回数・量が多ければ多いほど肥満度が高い。ダイエット食品はあまり効果が無い、それどころか逆の効果。

というものです。

これって、単に、肥満の方がダイエット食品をよく食べていただけ、ということですよね。逆です。

その他では。

コーヒーを1日3杯以上飲む人は、飲まない人に比べて、ある病気になる確率が3倍以上になる。コーヒーに含まれるカフェインが原因か?

というものがあります。

ここでは。

コーヒーに入れる砂糖の影響が考慮(コントロール)されているのか、を明白にする必要があります。すなわち、コーヒーに砂糖を入れる人/入れない人で調べれば、カフェインとの影響も明白になるわけです。

まあ、こんな感じで、興味深い事例が大量に載っています。

私たちの生活を見回してみると、新聞では日々必ずと言っていいほど社会調査に関する記事が載っていますし、テレビでもアンケート結果を面白おかしく紹介する番組などが多々放映されています。

私自身も、そのような記事や番組に普段から接して慣れているため、この本で著者の示す事例を読んでも、どこに問題があるかわからないことも結構ありました。

経営学、心理学でも「統計学」「リサーチ法」は重要な位置付けとなるため、何度か学んでいるにも関わらず、です。

情けないと思うやら、一方で、著者ほど注意深く記事などを読み進めることはとてもできないな、との半ばあきらめの心境で本書を読み進みました。

 

社会調査結果に対し、過度に反応し過ぎない、信じ込み過ぎないには、どうすれば良いのでしょうね・・

このような本でリサーチ・リテラシーをしっかりと身に付ける、複数の情報源にあたるようにする、リサーチの条件を常に確認するようにする、ということが理想なのでしょうね。

私自身は、というと・・・ほとんどできていません。とてもそのような手間はかけていません。

自身でできることとしては、メディアで一斉に報じられていること、センセーショナルな見出しになっている記事については、頭から信じ込まないよう心掛けています。また、情報源に関しては、視野が広く視点が鋭いなと自身で思う方、例えば、大前研一氏の記事などにもあたってみることにしています。(大前氏の記事にも同意できない点はあります。そのような点は取捨選択を行います)

さて、この本は、2000年発行なので、16年も前のものです。

取上げられている事例こそ古いですが、今も新刊で購入できます。それだけ、よく読まれている、ということですし、本質的な点を突いている、ということでしょうね。

 

 

 

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