何と! お金を使わずに1年間生活した青年のお話 -ぼくはお金を使わずに生きることにした-

 

ぼくはお金を使わずに生きることにした

面白いタイトルの本ですよね。

 

 

この本の著者であるマーク・ボイル氏は、そのタイトルの通り、1年間、お金を使わない生活を行なったのです。

では、なぜ「カネなし」を選ぶのか?

この本ではまず(プロローグではなく、第一章です)、マークのお金に関する考察から始まります。

その昔、人々は、お金ではなく、物々交換で商取引を行っていました。

その際、人々は「自分が欲しいと思っているモノを持っている相手」を見つけ出して交渉する必要があります。けれども、そのような人が見つからないかも知れないし、交換の内容が釣り合わない場合もあります。たとえば、牛一頭とパン10個などの交換はNGですよね。

このような時、取引は成立せず、その人は自分が欲しいモノを手に入れられない場合もあるわけです。いわゆる「欲望の二重の一致」がないと取引が成立しないのです。

 

このような非効率な状況を踏まえ、「お金(=当初は貝殻のようなものだったでしょう)」という「交換を媒介するモノ」が発明されました。そうすると、お金を媒介して効率よく取引を行えるようになります。

まあ、これは寓話なので事の真偽は明らかではありませんが・・このような話は、マークの本に限らず、何冊かの本でお目にかかったことがあります。

 

さて、この「お金」ですが、時を経て複雑に進化を遂げていきます。銀行による信用創造、債券、証券、為替など、仮想通貨と呼んでもよいのでしょうか、お金自体が独り歩きし、とてつもなく膨張していきました。今や現代人のほとんどが、お金無しの世の中を想像することはできないのではないでしょうか。

マークは、元々経営学や経済学を学んだようですが、ガンディーの本に出会い、パーマカルチャーや環境問題にも関心を寄せるようになったようですね。ある日、環境破壊、資源争奪戦が行なわれる状況に対して、深い洞察を得ます。

病んでいる地球のこれらの諸症状は、互いに無関係ではなくて、ある大きな原因を共有している。その原因とは、消費者と消費される物との間の断絶である。

 

すなわち、「私たちが自身で食べ物を育てなくてはならないならば、その三分の一を無駄にすることはしないだろう。机や椅子を自分で作らなければならないならば、簡単に捨てようとは思わないだろう」ということですね。

鋭いですね!

そして、このような断絶を生み出したのはなにか?とマークは考えます。

それは、「お金」ではないか?

お金を媒介することで、臨場感がなくなり、実感がわかなくなってしまっている。

マークは、これ以外の視点も含め、1章を割いて、現代における「お金」や「環境破壊」などに対する自身の問題について分かりやすく語ってくれています。

 

このような問題意識を受け、マークは、フリーエコノミー・コミュニティーをインターネット上に立ち上げました。物々交換などを基本とした「コミュニティ」を立ち上げたのです。そこで一定の反響を得た後、1年間、お金無しで生活することにしたのです。

「一体どのように?」と思われますよね。その方法や生活ぶりについては、本書をお読みいただくのが良いと思います。生活の工夫面など、面白いですよ。

また、意外なことに、カネなし生活とは言え、フリーエコノミーの活動やホームページの更新、ラジオ局のインタビューを受けるなど、隠遁生活ではなく、外出したり情報を発信する、忙しい生活だったようです(マークがお金無しの生活を始める前にマスコミに知られることとなり、期間中、しばしばマスコミからインタビューを受けられていたようです)。

 

今回は、マークのカネなし生活への経緯などを書かせて頂きました。

次回は、カネなし生活を経たマークの気付き、を中心に書かせて頂きます。

 

 

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