インドの哲学者によって提唱された「プラウト」理論 (2) -資本主義を超えた世界を模索する-
さて、サーカーによって提唱され、
弟子であるダダ・マヘシュヴァラナンダ達によって発展されてきた理論である
「プラウト」について、続編の記事を書かせて頂きます。
昨日書かせて頂いたように、プラウトが必要とする最低限の生活必需品として、
①食料(飲料水含む)、②衣服、③住居(下水、エネルギー含む)、
④医療、⑤教育、
の5つが挙げられました。
次いで、その5つの生活必需品の取り扱いをはじめとして、
プラウト社会・経済をどのように実現していくのか、
ということについて言及されていますので、ご紹介します。
まずはプラウトに基づく経済民主主義の三層構造について。
プラウト経済では、協同組合、小規模個人経営、
大規模基幹産業の3レベルを想定する、
しかも協同組合が人口のもっとも多くを雇用し、(中略)
プラウト社会の核を形成する。(P.79、P.102など)
ここでは、プラウト社会で中核を占める「協同組合」に焦点を当ててみます。
ご存じのとおり、協同組合とは、
共同所有と民主的管理に基づく事業を通して、
共通の経済的、社会的、文化的な必要と向上心を
満たすために、自発的に協力する個人による
自主的なアソシエーションである。(P.103)
というものであり、営利を目的しない団体ですね。
それでは、その、協同組合で何をするのか?
協同組合では、主に必須品を製造・販売します。
必須品は、適切な生活水準維持のために必要なもので、
清らかな水、ほとんどの衣服、住宅資材、教科書や教材
などを扱います。
※ちなみに、協同で行うには小規模すぎるものや複雑すぎるものは
小規模個人経営で行います。また、輸送、エネルギー、電気通信など、
上記協同組合や小規模個人経営に向かないものが大規模基幹産業となります。
やはりここでも、先日の中谷巌氏の記事にあった通り、
生活の基幹となる衣食住については利益目的で事業を行なわない、
という考え方になっています。
正しいと思います。
それから。
ここまで書かせて頂いた中では、このプラウト社会は、
完全平等的な、共産的な社会を志向しているように思われるかもしれません。
が、プラウトでは、あらゆることを平等にするということは否定しています。
同一性ではなく、多様性を自然法則と考えているのです。
剰余の富は、貢献度に応じて功績ある人に分配することを提唱しています。
制限が付いた収入の不平等が、生産性へのインセンティブとなるならば、
それを社会にとって有益である、と考えるのです。
この他、この本では、経営のみならず、
農業、コミュニティ、司法など多分野に渡り書いてあるのですが、
到底、このブログ内では書き切れません。
印象的なものの一部をピックアップしました。
多分野に渡る素晴らしい構想だと思います。
最後に、インドの哲学者起源の思想だけあって、
瞑想などのスピリチュアル面を重視することも特徴の一つだと思います。
(ちなみに、宗教、ドグマなどとは無関係な立場です。念のため。)
参考になります。