都市と地方をかきまぜる! -【食べる通信】の奇跡-

 

「食べる通信」という興味深い取り組みがあります。

この取り組みは、東北のいわゆる地方発のものであるため、一見すると「地方創生」の取組みかな、と思ったりしますが・・・

その視点は、もっと広いものです。

 

この取り組みについて書かれた本「都市と地方をかきまぜる~「食べる通信」の奇跡~」の著者(食べる通信編集長):高橋博之氏は、岩手県出身。

学生時代から20歳代までを東京で暮らし、その後地元に戻って県議会議員をされていたそうです。在任中、東日本大震災が起こり、その時の対応策(巨大防潮堤計画)に大きな疑問を持ち、県議を辞職し、県知事に立候補したけれども落選。その後、現在の「食べる通信」関係のお仕事に従事されています。

このような、地方と都会に住んだ経験、県議として地方自治に携わった経験、大震災での経験をされた著者は、単なる地方一辺倒の視点ではなく、都会生活を通じて感じた「都会ならではの問題点」という視点も合わせた取り組みをされるようになったのです。

というより、むしろその視点は、都会の人々の行き詰まりという問題点への解決に比重があるとさえ感じるくらいです。

 

都市生活では、人工的、複雑で、身体性が軽視されやすく、アイデンティティ・生きる実感を感じにくく、「生命」「死」というものが日常から追いやられている・・・そんな感じを抱いていた折、東日本大震災が発生。

被災地にボランティアでやって来た都市住民を見た著者は、彼ら/彼女らが活動を通した中で、生きる実感やリアリティを取り戻す様を見たと言います。

その姿を見た著者は、緊急時のみならず、日常において地方と都会のつながりを実現できないか、と着想されたのです。

そして取り組まれたのが、このブログのタイトルにもある「食べる通信」という活動です。

 

では、「食べる通信」とは?

 

東北の農業や漁業の現場を取材したタブロイド誌に、野菜や魚などの生産物が「付録」した【食べ物付きマガジン】なのです!

都会の人たちはまず、生産者の人となり、生産現場の様子など、「生産物にまつわる物語」を読んだ後、産地直送の生産物を楽しむのです!

面白いですね!

そしてこの取り組みは、産地からの一方的な情報提供にとどまらないところがミソです。

SNSなどを利用して、都市生活者の声が生産者に届く、それを受けてさらに生産者から調理方法などの情報を提供するというインタラクティブ(双方向)な交流が起きるのです。

このように、お互いの顔を知り、関係性ができた都市部の人々は、その次に、イベント参加(田植え体験、漁業体験など)したり、コミュニティ運営に関わるようになり・・・やがて移住する人も出てきているそうです。

 

う~ん、月並みな表現ですが、素晴らしいですね。

本書を読んでいて印象的だったのが、著者の高橋さんは、地方でも都市部でもよく、車座になって座談会をした、と書かれている点です。

頻繁に現場の声を聴き、また地方と都会という広い視野からモデルを考えるための大きな基盤になっているのだろうなぁと感じます。

 

さて、まとめます。

この「食べる通信」の取り組みは、2016年7月時点で、全国34箇所で行われています。私の住む広島県でも活動されていらっしゃいますね。

「食」を通じた地方と都会のつながり。

このような関係性を築くこと(関係性人口を増やす)が、長期的に見て、地方と都会の共存共栄にもつながるのではないかと思いました。

そのことが、本書「都市と地方をかきまぜる~「食べる通信」の奇跡~」に書かれています。いかがでしょうか。

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