「仏教的な考え方」を日常生活に活かす智恵にあふれた書籍【反応しない練習】

 

「人の幸福に役立つ合理的な仏教」を広めるべく活動を展開されている、草薙龍瞬さんという方がいらっしゃいます。

この方は、インド仏教指導僧の元で出家され、タイの仏教大学やミャンマーの僧院にいらっしゃったご経験もあるようです。

日本の宗派には属さない、いわゆるテーラワーダ仏教系の方だと思います。

今回ご紹介する氏の著書「反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」で氏が訴えたいことは、「正しく考えることで、どんな悩みでも必ず解消できる」ということです。

 

ここで。

「考える」という表現が出てきますが、これは一般的に捉えられている「考えること」とは違います。

仏教的な捉え方ベースとなっているのです。

補足させて頂くと。。。

本のタイトルにもあるように、私たちは日常、外界からの刺激にただ、反応し続けています。

なぜ、そんなにも、半ば無意識的に反応してしまうのかというと、そのベースには「求める心=心の渇き→欲望」があり、私たちは日々それらに突き動かされ続けているのです。

そしてその「心の反応」こそが私たちの種々の苦・悩みを作り出しており、まず私たちは「心の無駄な反応」を止めることが大切なのです。

その上で私たちは、無意識的に反応すること、例えば判断しすぎてしまう、承認を得ようとして周りの環境にふり回され続けてしまうことなどが、悩んでしまう要因の一つであることを正しく理解(=これが、「正しく考える」ということです)し、悩みなく(少なく)生きていく、そのための方法が書かれていることが本書なのです。

 

冒頭に書かせて頂いたように、氏の活動目的は、日常的に生活している私たちの幸福に仏教を役立てたいということなので、出家の修行僧に求められるような「徹底的な欲の撲滅」までは主張されておらず、「自分の快を感じるかぎりは欲求を否定せず、承認欲さえも、活かし方次第」だと考えていらっしゃいます。

仏教的には、欲こそが様々な悩み(苦)の根元となりますから、ガイドラインというか、どこかでしっかりと歯止めをかけるかが極めて重要となるでしょうね。

本書「反応しない練習」を拝読してみて、一見、テーラワーダ仏教が目指す世界と真反対の現代社会において、いかにその英智を活かせるかに心をくだいていらっしゃることが感じられました。

認知心理学、認知行動療法などもかなり研究されているともお見受けしました。

大いに参考になりました。

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