「ブッダの生涯」を知るおすすめ本【日本人が知らないブッダの話】のご紹介です。 《原始仏教・原始仏典について》

 

お釈迦様(お釈迦様には様々な呼び方があります。以下、本ブログでは、ブッダと書かせて頂きます)についての歴史的資料って、実は膨大な数残されています。

ブッダ入滅後すぐに弟子たちが集まって、教えの再確認を行う「第一結集」の流れを汲むパーリ語経典(原始仏教の経典)はじめ、多くの経典や、出家した弟子が守るべき戒律をまとめた律蔵など多くの書物が残されています。

そして今回は、原始仏教の流れを汲むテーラワーダ仏教(スリランカ上座部仏教)の長老で、現在は日本に住んでいらっしゃるアルボムッレ・スマナサーラ長老によって書かれたブッダの生涯についての解説本「日本人が知らないブッダの話」についてご紹介します。

スマナサーラ長老は、上座部仏教に所属されていますので、本書の内容はパーリ語経典の内容が基本となります。さらに律蔵、さらには註釈書、仏伝ジャータカなども参照しながらブッダの生涯について解説されています。

 

本書は、まずブッダの前世から始まり、出生、出家、布教、取り巻く人々やサンガの様子、入滅に至るまでが語られるという構成となっています(少しだけ、釈迦族の滅亡についても書かれています)。

ただ多分、比丘たちが目的(解脱)を達成するために必要な教えが、ブッダの語ったほとんど全てのはずで、ブッダ自身の前世、出生などはそれ程語られていないと思います。

後世になって書かれた部分もあるため、特に前世、出生については、ブッダを神格化するような記述がありますね。例えば、天上天下唯我独尊という言葉の元となった話=ブッダの出生時の話では、

生まれるとただちに両足をもって大地にしっかりと立ち、地に向かって七歩、交互に進み、白傘がさしかけられると、あらゆる方角を眺める。そして、「私は世界の第一人者である。私は世界の最年長者である。私は世界の最勝者である。・・・(略)」

と仰ったとありますが、この辺りは割り引いて考える必要があると思います。

これ以外にも、四門出遊の話などは、神話化された面があるとスマナサーラ長老は語られていますし、、、まあ、膨大な仏典は、様々な時期に書かれており、その中で史実と違ったエピソードや権威づけのための話が入ることは、全くもって不思議なことでは無いと思います。

そのような状況はあるかも知れませんが、本書を読むと、ブッダの出家、布教、とりまく人々やサンガの様子などが、ほんとうに手に取るようにわかりますね。

スマナサーラ長老が上記の様々な仏典の膨大な知識をお持ちであることがうかがえます。上述のような、膨大な数の仏典に当たられたのだと思います。

ブッダの出家、布教、入滅時の話や教えについては、別ブログに書かせて頂いていますので、ここでは詳しく触れません。

本書は、テーラワーダ仏教の実践者の視点で、ブッダの生涯、教え(概要)について書かれた優れた本であると思います。

中村元博士のような学者視点での解説者の本と併せて読んでみると、よりよく原始仏教の概略が分かるのではないかと思いました。

 

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