長期的視野、スロー化、統合化、全体化がキーとなることを実感する【和の国富論】

 

ベストセラーである「里山資本主義」「デフレの正体」を書かれ、日本中の地域を行脚されている藻谷浩介さん

最近出版される本は、地域で面白そうな、そして大切な活動をされている人々との対談本が多くなっているような気がします。

まあそうでしょうね。あれだけ日本中を回っているのだから、面白い人に出会う機会も半端ないことでしょう。

私はこれまで3回ほど、藻谷さんの講演に参加させて頂いたことがありますが、毎回、地域で面白い活動をされている人々が、時に一緒に登壇され、時に藻谷さんとの質疑応用の際、自らの活動内容を明らかにされたり、時に藻谷さんが紹介されることで、地元にも面白い人が沢山いらっしゃることを実感しています。

今回ご紹介する対談本「和の国富論」で登場されるのは、林業経営者、漁業経済学者、都市・建築再生プロデューサー(空き家活用など)、元小学校教師、高齢者などのための支援施設経営者、解剖学者(養老孟司さんです)の6名です。すべて、地域に関わる人々に関する課題とその解決に向けて活動されている人々です(啓蒙活動を含めます)。

 

キーワードという形で全体を総括的(?)に語ってみると、

短期的、効率化、スピード化、分業化、部分化が現代社会の特徴だったりしますけど、これに対して、

長期的(視野)、スロー化、統合化、全体化という上記と反対の価値観こそが日本の再生(地域という言葉を使ってきましたけど、東京含む日本全体です)につながると主張されています。

共感しますね!

さて、この「和の国富論」において、私が読んでみて特に印象に残った点を1つご紹介します。いろいろと興味深かったのですけど、今回は1点をピックアップします。

それは。空き家活用などの活動をされている清水さんが紹介されているエピソードです。

関東大震災からの復興の際、とある方は、「インフラ投資で機能分化した都市を築こう」と主張されます。道路や鉄道を整備し、郊外に住宅地、都市部に企業などという、現代に典型的に見られる都市を創ることで復旧していこうということですね。

これに対し、福田徳三という経済学者が、「人間には自分で営業をして生活を営む権利があるはずだ」と反対されるのです。清水さんが名付けたのか、福田さんが名付けたのか定かではありませんが・・・このことを「営業生活権」と言います。

営業生活権? 正直に言うと今一つ分かりにくい言葉だと思います。

要は、「そこに住んでいる人が自立(=自分で営業=生産・商売をする)した生活を営む権利がある」ということです。

自分のすべてを会社といったものに委ね切り、生活に必要なものを外注(購入)に頼り切るのではなく、「地域の中で各々がある程度、自分の周りのことは(衣食など)自分でしつつ、自分で生活の糧を稼ぐ」ということなのです。

もちろん全てを自分で賄うのではなく、自分の周囲で他の商いをしている人たちから必要なものは購入することになるわけで・・・「コンパクトシティとか地域の中でマネーが循環するような世界を築く」と良いということです。

こちらにも共感します。

何て言いますかね。「自分を取り戻す」というと大袈裟かも知れませんが、あまりに分化、分業化、外注化し過ぎた生活から、「等身大の自分を戻っていく」ことって大切なのだろうと感じるのです。

こんな所でしょうか。

地域には面白い人がいっぱいいらっしゃることを実感しますし、面白そうな動きをしっかりとウォッチし続けたいと思っています。

 

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